認知症:睡眠時間は短すぎても長すぎてもリスク!

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高齢になると、寝つきが悪くなったり(入眠障害)、夜中に目が覚めて眠れなくなる(中途覚醒)などの睡眠障害に悩む事が多くなります。

1日の睡眠時間が5時間未満の人や10時間以上の人は、5時間~7時間未満の人に比べて認知症や死亡のリスクが高くなっていることが、わが国の高齢者を対象にした研究で明らかになりました。

 これは、九州大学の小原知之氏らの研究グループが、医学専門誌Journal of the American Geriatrics Society誌に報告したものです(Ohara T, et al. J Am Geriatr Soc. 2018 Jun 6. doi: 10.1111/jgs.15446.)。  

研究では、毎日の睡眠時間と認知症および死亡の関係を調べるために、大規模疫学研究である「久山町研究」のデータを分析しました。

対象となったのは、福岡県糟屋郡久山町に暮らす60歳以上の人々で、登録時には認知症ではなかった1517人(男性667人、女性850人)です。  

登録時に自己申告された、昼寝も含む1日の睡眠時間に基づいて人々を5群に分け、認知症の発症頻度を比較しました。

その結果、最長10年の追跡期間中に294人(男性110人、女性184人)が認知症を発症し、うちアルツハイマー病は197人、血管性認知症は76人でした。

また、死亡したのは282人で、66人の死因は心血管疾患(心筋梗塞脳卒中など)で、108人はがん、42人は呼吸器感染症だったそうです。  

次に、睡眠時間を基に比較した調べたところ、年齢と性別を考慮した認知症の発症率と死亡率は、5時間未満の人々と10時間以上の人々で高くなっており、睡眠時間がこのような短い集団と長い集団における発症リスクの上昇は明確に示されていました。

5時間~7時間未満の人々に比べ、5時間未満の人の認知症のリスクは2.64倍、あらゆる原因による死亡のリスクは2.29倍でした。同様に、睡眠時間が10時間以上の人の認知症リスクは参照群の2.23倍で、死亡のリスクは1.67倍でした。

この認知症のタイプを、アルツハイマー病だった人、血管性認知症だった人を分けて、それらの発症と睡眠時間の関係を調べても、同様の関係が認められたそうです。  

以上の結果から、高齢での認知症と死亡リスクを下げるには、適切な睡眠時間を維持することが重要であると結論されています。  

やっぱり、睡眠時間は適切に取らねばなりませんね。