カプサイシン入りトローチは、高齢者の嚥下障害を予防

カプサイシン入りトローチは、高齢者の嚥下障害を予防

 嚥下は、食べ物をのみくだして胃に送り込む事ですが、お年寄りの方では、
この反射運動が低下します。そのため、食べ物が喉に引っかかったり、食べ物
が肺に入ってしまい肺炎を起こすことがよくあり、高齢者医療では大きな問題
となっています。

 さて今回、トウガラシの辛味成分であるカプサイシンの入ったトローチを食
事の前になめておくと、上気道の反射神経を改善し、嚥下障害を予防するとい
う報告がなされました。
 これは、東北大学医学部のTakae Ebihara博士らが、米国高齢者社会誌(Journal
of the American Geriatric Society, 2005)に報告したものです。

 研究では、平均年齢82歳の64名の老人ホーム入居者を対象に、カプサイシン
入りのトローチ或いは偽薬入りトローチを、4週間にわたって毎食前になめても
らいました。また適宜、対象の高齢者の方に少量の水をのんでもらい、飲み込
むまでの時間を測定して、嚥下神経の反射の程度を測定したそうです。

 お年寄りの方が水を飲み込むまで時間は、5秒間を越えると肺炎になるリスク
の高くなるのですが、実際の研究開始の時点では平均5.7秒で、危険な状態だっ
たそうです。

 ところが、カプサイシンの入ったトローチをなめていた人では、4週間後には
3.5秒にまで飲み込む時間が早くなっていました。ちなみに、偽薬を摂った人で
は5.7秒と変化はなかったそうです。

 この結果から、カプサイシンが嚥下神経を活性化し、高齢者が食べ物で喉を
詰らせたり、或いは食べ物が肺に入って起こる肺炎の予防に、非常に有効であ
ると結論しています。

 カプサイシンが、喉にあるサプスタンスPと呼ばれる、嚥下神経を活性化す
る物質の分泌を促進させることが考えられるそうです。

 カプサイシンはご存知のように、トウガラシなどに多く入っていますので、
七味唐辛子を鍋物に入れたり、キムチを食べるとよいかも知れませんね。

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