ミントの香りは、虫に消化不良を起こさせる

<ミントの香りは、虫に消化不良を起こさせる>

 

ベランダ栽培の季節がやってきました。

中でも、ペパーミントなどの植物は害虫を寄せ付けない事から、家庭菜園などでよく使われています。

しかし、どうして害虫が来なくなるかについてはよく分かっていませんでした。

そこで研究者らが、ミントは香りが非常に強いハッカ臭を出すのでその効果について調べたところ、近くにある植物が、害虫に消化不良を起こすたんぱく質を多く作らせることが分かりました。

これは、東京理科大の有村源一郎准教授(分子生態学)らの研究チームが、米科学誌プラント・ジャーナル(電子版2018年10月)に発表したものです。

植物には香り成分の分泌によって、植物の個体間での情報をやり取りする仕組みがあるそうで、今までの研究で、植物が害虫に食べられた時に発する香りをその植物の近くにある他の植物が感知すると、害虫に消化不良を起こすたんぱく質を出させる事が明らかになっていました。

そこで、この研究チームはミントの香りに同様の効果があるかどうかを調べました。 

10種類のミントのそばでダイズを栽培したところ、ガの幼虫やダニなどが消化不良を起こすたんぱく質を作り出すRNA(リボ核酸)の量が、キャンディーミントで3.4倍、ペパーミントで2.9倍になる事が分かりました。

その時の害虫による食害を調べたところ、キャンディーミントのそばで育てたダイズは、そうでないダイズと比べ食害率を半分に抑えられていたそうです。  

この効果は、コマツナでも同様に確認され、またダイズもコマツナも、ミントとの距離が近いほど食害が少ない事も分かりました。

植物がどのように香りを感知しているのかは、まだ分かっていないようですが、この結果は低農薬栽培への応用が期待でき、注目を集めています。