がんの予防:野菜や果物の摂取が有効。

● がんの予防:野菜や果物の摂取が有効。


 先日ロスアンゼルスで開かれた、米国癌学会(American Association for
Cancer Research annual meeting, Los Angeles, April 2007)で、野菜や果
物を摂るとがんのリスクが低減する、との報告がありました。

(1)野菜を多く摂ると、頭頸部癌の発生が低下する(Neal Freedman, Ph.D.,
cancer prevention fellow, National Cancer Institute, Bethesda, Md.らの
報告)。
 研究は成人49万802人を対象にしたもので、このうち787人が5年の間に頭頸部
癌と診断されていました。
 これらの人について、野菜或いは果物の摂取との関係を調べたところ、1日
1,000カロリー摂取あたりに果物または野菜を6皿分を摂取する人では、1.5皿
しか摂取しない人に比べて、頭頸部癌リスクが29%も低いことがわかりました。
 1皿分増えるだけでも、6%のリスク低下が認められ、また果物よりも野菜の
方が高い予防効果がみられたそうです。

(2) ブロッコリーやダイズには、乳癌および卵巣癌に対する予防効果がある
(Tara Miller, M.S., R.D., program manager, Center for Corporate Wellness,
New York University Medical Center, New York City)。
 この研究は実験室レベルのものですが、ブロッコリーが消化される際に出来
るジインドリルメタン(DIM)、あるいは大豆が消化される際に出来るゲニス
テインには、乳癌および卵巣癌の細胞の運動性に作用し、癌の転移を抑制する
ことがわかりました。
 なお、大豆にはエストロゲン様の作用があるため、ホルモンが関係した癌の
人は注意が必要だそうです。

(3)フラボノールを摂ると膵癌のリスクが低下する(Melanie Polk, R.D.,
nutrition and education adviser, American Institute for Cancer Research)。
 カリフォルニアおよびハワイ在住の18万3,518人を対象に、フラボノール摂
取量と膵癌リスクを比較したものです。
 フラボノールは、タマネギ、リンゴ、ベリー類、ケールおよびブロッコリー
などに含まれる物質ですが、このフラボノール摂取量が高い人では膵癌リスク
が23%低いことがわかりました。
 特に喫煙者の場合では、フラボノール摂取量が高い人は膵癌リスクが59%も
低くなる、ことがわかりました。
 
 最近、サプリメントとして抗酸化ビタミンを摂っても抗がん効果が見られな
いばかりか、逆に前立腺がんなどのリスクが高まるなどの否定的な報告があり
ましたが、今回発表のあったのような、野菜や果物として摂取するのは、やは
りがんのリスクを低減させるのは間違いないようです。


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