乳製品たくさん食べる人は、死亡リスクが低い

<乳製品たくさん食べる人は、死亡リスクが低い>

 

「ヨーグルトは身体に良いは、ウソ」という話が出回っていますが、乳製品の摂取量が多い人ほど、循環器疾患にかかるリスクや死亡するリスクが低いことがカナダの研究では示されており、どちらが正しいか気になります。

肥満が社会的な問題になっている先進国の多くでは、全乳製品(乳脂肪分を除去していない=低脂肪ではない乳製品)の摂取を極力抑えるよう勧めています。

乳製品には飽和脂肪酸が多く含まれているために、血液中の脂質(中性脂肪コレステロール)の値に有害な影響を及ぼし、脳卒中心筋梗塞心不全などの循環器疾患が発生しやすくなり、死亡のリスクを高める可能性があると考えられているからです。

しかし、全乳製品の摂取を控えたほうが健康に良いことを示す確かな情報はほとんどなく、乳製品には健康に良いさまざまな成分が含まれています。

そこで、カナダMcMaster大学のMahshid Dehghan氏らは、世界21カ国(欧州、北米、南米、アフリカ、中東、南アジア、東南アジアの国々と中国)に住む35~70歳の約15万人のデータを基に、乳製品と健康の関係について検討しました(Dehghan M, et al. Lancet. 2018 Nov 24;392(10161):2288-2297. doi: 10.1016/S0140-6736(18)31812-9. Epub 2018 Sep 11.)。

この研究に参加した人々には、先ず乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなどを含む製品)の摂取習慣を尋ねました。

そして1回の摂取量は、牛乳ならグラス1杯、ヨーグルトはカップ1杯、チーズは1切れ(15g)などとし、それらを1日に何回摂取するかを「1回」から「6回超」の中から選んでもらい、1日の摂取総量を推定しました。

さらに、摂取していた乳製品を全乳製品と低脂肪製品に分類したそうです。

なお、この研究では2003年1月1日から2018年7月14日までに、15万3220人が参加し、そのうちで分析対象にしたのは、必要な情報がそろっており、調査時点で「循環器疾患にかかったことがない」などの条件を満たした13万6384人(92.3%)です。

その結果、乳製品の摂取が多かったのは、欧州、北米、中東、南米の人々でした。

またヨーグルトは、中東、欧州、北米、南アジアで、チーズは欧州と北米、中東でより多く摂取されていました。バターは南米、欧州、北米、中東で多く食べられていたものの、平均摂取量は少ないことが分かりました。

9.1年の追跡期間中に6796人が死亡しており、循環器疾患以外による死亡が4796人、循環器疾患による死亡が2000人だったそうです。

心筋梗塞を発症した人は2594人、脳卒中は2718人、心不全は516人でした。

また、「死亡または循環器疾患発症のいずれか」(以下、複合イベント)を経験していた人数は、1万567人になっていました。

これらの結果から、1日に2回を超えて乳製品を摂取する人の複合イベントのリスクは、乳製品を全く摂取しない人と比べて16%低くなっている事が明らかになりました。

死亡のリスクは17%減、循環器疾患発症のリスクは22%減で、すべてにおいて摂取量が増えるほど、リスクは低くなる傾向があり、また循環器疾患のうちの脳卒中のリスクは、乳製品を摂取しない人に比べ、1日に2回を超えて摂取する人のほうが34%も低くなっている事が分かりました。

なお、心筋梗塞のリスクと乳製品の摂取量の間には、統計学的に有意な関係は見られなかったようです。

以上の結果は、乳製品を全乳製品と低脂肪製品に分けて分析しても同様だったそうです。

乳製品の種類別に見ると、牛乳の摂取については、全く飲まない人に比べ、1日に1回を超えて摂取していた人々の複合イベントのリスクは10%低く、循環器疾患のリスクも18%低いことが明らかになりましたが、死亡リスクとの間には有意な関係は見られませんでした。

ヨーグルトでは、1日に1回を超えて摂取していた人の複合イベントのリスクは14%低く、死亡のリスクは17%低くなっていましたが、循環器疾患リスクの低下は統計学的に有意ではありませんでした。

ただし、循環器疾患の場合も、ヨーグルトの摂取量が多い人ほどリスクは低い傾向が見られたそうです。

チーズの摂取量、バターの摂取量については、複合イベントや死亡との間に有意な関係は見られませんでした。

乳製品由来の飽和脂肪酸の摂取量と、複合イベント、死亡の関係について検討しましたが、これも有意な関係は認められませんでした。

以上の結果は、乳製品の摂取量と、死亡および循環器疾患発症のリスクとの間に逆相関関係が見られ、乳製品の積極的な摂取を支持するものとなっています。

という事ですので、私はやっぱり乳製品を積極的に摂るようにします!