「水分を多く摂ると身体によい」は、科学的証拠がない!

<「水分を多く摂ると身体によい」は、科学的証拠がない!>


 人間の身体の70%が水分です。
 そのためか、身体が水分を多く欲しており、体内の毒素を洗い流すために水分をたくさん補給する必要があり、またお水を飲めばお肌にもよいと信じられています。

 実際、レッキとした国の保健機関が、「皆さん、水を多く摂りましょう」と薦めてもいます。
 例えば、英国の食品標準化局(Food Standards Agency)では、1日6-8杯の水(1.2リットル)を飲むように推奨しています。
 また、他の保険機関(British Nutrition Foundation)は、それよりも更に多くの1日に1.5〜2リットル摂ることが有効としているようです。

 ところが、その様に飲料水を沢山摂っても健康上の利益はほとんどなく、水を多く摂るとよいというのはまったく科学的根拠が無い事、とする研究が発表されました。

 これは、米国腎臓学会誌Journal of the American Society of Nephrology(2008, April)に、ペンシルバニア大学Dan Negoianu博士ら報告したもので、現地の新聞やTVなどで大々的に取り上げられて問題となっています。

 このような推奨量の源となったのは、1日に体から失われる水分量からの推測に過ぎず、健康上の利益を目的とした研究によるものではないということです。

 先ほどの食品標準化局の場合では、平均体重70kgの男性は1日2.5リットルの水分を対外に排出しますが、根拠となったのはそのうち1.3リットルは食べ物から摂れるので、残り1.2リットルは水分補給が必要である、という計算からなのだそうです。

 また科学的根拠があるとされているものでも、小スケールの臨床試験例しかなく、水分を多く飲むと頭痛の頻度が低下するとする報告も、統計学的には有意な差とは言えないとされています。

 従って、特別激しい運動や発汗を伴う作業をしない限りは、通常の水分摂取で十分であるということのようです。




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