癌を嗅ぎつけるクローン犬を創る

<癌を嗅ぎつけるクローン犬を創る>


 以前、匂いを嗅いで癌を見つけることの出来る犬のお話をしました。
 今回、そのような才能を持つ犬のクローンをたくさん創って、癌の診断に役立てようというプロジェクトが進みつつあるという話題です。

 がん細胞は、健康な細胞とは異なる特殊な匂いの成分を分泌すると考えられています。

 そして、その匂いを嗅ぎ分けるように訓練した犬が、肺がん、乳癌、前立腺がん、及び皮膚癌などの癌の早期発見に役立つという報告が続いています。

 一般に行われている癌の診断には、血液検査やX線照射などの最新の技術を使われていますが、その様な検査は、費用や時間がかかるだけでなく、患者さんの身体への負担も強いる侵襲性のものがほとんどです。

 ところがこの犬の嗅覚を用いた検査では、患者さんの息や尿の匂いをかいで癌を発見するため、身体への負担もなく、更に高い割合で発見できるため、最新の検査医学の分野でも評判になっていました。

 しかし、いくら犬が鋭い嗅覚を持っていても、癌を見つけるという特殊な嗅覚をもつ犬がどのくらいいるか、どのような訓練が必要か、が問題です。

 さて、今回話題となっている犬は、ラブラドル・レトリーバーの6歳半の雌犬のマリーンという犬で、癌の発見能力に関しては世界最高峰の持ち主だそうです。

 しかし、マリーンは以前病気のために子宮を摘出していたために、子供が出来なく、せっかくの才能が一代限りになると心配されていました。

 そこで、飼い主で、St. Sugar犬教育センターのトレーナーのYuji Satohさんは、2005年に世界で最初にクローン犬を作ったソウル国立大学に、マリーンの皮膚細胞を送付してクローン犬創りを依頼したのだそうです。

 その依頼を受けて、韓国バイオテクノロジー会社がクローン犬創りを行っているのですが、マリーンのクローン犬創りは順調に進んでおり、マリーンのクローン胎児が借り腹犬に移植される段階にまできたと、発表しました。
 近いうちにマリーンのクローンを得ることが出来るということです。

 このように、マリーンのクローンを得ることで、世界でトップレベルの癌発見嗅覚をもつ犬を沢山創り出す事ができ、その特別な才能を持つクローン犬を訓練して、癌発見に貢献することが期待されています。

 ただ、ちょっと気になる点として、韓国のクローン動物作りの技術にはやや疑問があります。
 最近日本国内の大学で、僅か21歳の女子学生がクローンマウスの作成に成功し、クローン化に成功した最も若い研究者として、ギネスブックに記載されるというニュースがありましたが、その大学へ依頼した方がよいかもしれませんね。

 いずれにせよ、今までの検査手法と全く異なるこのニュースの行方を、大いに注目しています。


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