緑茶: 自己免疫疾患を抑制。

●緑茶: 自己免疫疾患を抑制。


 最近、緑茶の健康に及ぼす効果について、さまざまな研究が行われ、いろい
ろな利点が報告されています。
 中でも、緑茶に含まれるカテキンやテアニンが、抗がん作用やリラックス効
果を示すことがよく知られていますが、今回さらに自己免疫疾患の予防効果が
発表されましたので、お知らせします。 

 これは、Medical College of GeorgiaのStephen Hsu博士らが、自己免疫医
学誌Autoimmunity(2007、April)に報告したものです。

 博士らは、緑茶が良く飲まれる日本を含むアジア諸国では、自己免疫疾患の
一つであるシェーグレン症候群が少ないことに注目しました。
 そして、食生活と関係しているのではないかと考え、緑茶に注目したそうで
す。
 ちなみに、シェーグレン症候群はまだその原因がはっきりわかっていない病
気です。
 患者さんは、涙が出にくい・つばが出にくいといった乾燥症状のほかに、疲
れやすい・憂うつになる・関節が痛む・熱が出る、などの全身のさまざまの症
状を呈する自己免疫疾患です。

 研究では、シェーグレン症候群様症状を発するマウスを用いて実験を行いま
した。
 その結果、緑茶エキスをマウスに与えた場合には、血液中の白血球数が顕著
に減少し、自己抗体のレベルが低くなることがわかりました。
 研究者らによると、緑茶に含まれるエピガロカテキンガレートEGCGが、白血
球から生産されるTNF-αを抑え、それによって炎症を抑制したものと考えられ
るそうです。

 さて、リウマチやシェーグレン症の患者さんの血液には、白血球により作ら
れる腫瘍壊死因子TNF-αが多く存在することがわかっています。
 通常は、TNF-αは体内に入ってきた異物を攻撃する作用を持つのですが、自
己免疫疾患ではこの作用が強くなり過ぎ、自分自身を攻撃する様になったため、
発症するのではないかと考えられています。

 このような自己免疫疾患は現在のところ有効な治療法がなく、つい先ごろ発
売されるようになった抗TNF抗体医薬品も、非常に高価な上に副作用の強いこと
が問題となっています。

 緑茶成分は、これらの疾病に広く有効である可能性があるということですの
で、非常に希望の持てる研究結果です。

 一日も早く、緑茶成分のより詳細な効果が明らかになり、リウマチなどの自
己免疫疾患の予防に役立つことを祈ってやみません。


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 新年おめでとうございます。
 このお正月をいかがお過ごしでしょうか。
 2008年があなたにとって素晴しい1年になることを、心よりお祈りします。

 2008年1月             
  ハセ 拝

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