時差ぼけの予防:朝光を浴び、午後はメラトニンをとり、早めに眠りに

●時差ぼけの予防:朝光を浴び、午後はメラトニンをとり、早めに眠りにつく。

 海外に出かけると、どうしても時差ぼけになってしまい、仕事や観光に支障
をきたしがちです。何かよい方法はないかと思っていたのですが、たまたまそ
の方法について記載されている論文を見つけましたので、お知らせします。

 その論文によると、次の3つが重要とのことです。
 1) 朝は明るい光を浴びる
 2) 午後に0.5mgのメラトニンを摂る
 3) いつもより1時間早めにベッドに入る。

 この報告は、内分泌および代謝医学誌(Journal of Clinical Endocrinology
and Metabolism. Nov. 1, 2005)にシカゴのRush大学医学センターのCharmane
Eastman博士が報告したものです。

 研究では、19歳〜45歳までの健康な非喫煙者44名を対象にして、時差ぼけの
調査をしました。
 なお、これらの人たちは通常一日8時間の睡眠を摂っており、特に睡眠障害
カフェイン中毒、また最近海外旅行や夜勤のなかった人たちだそうです。

 この人たちに3日間にわたって1時間早めにベッドに入ってもらい、たとえ眠
れなかったとしてもベッドに居てもらったそうです。また日中は通常の仕事を
してもらいました。
 そして朝には光があたる椅子に座って30分間光を浴び、ついで光を30分間消
すサイクルを毎朝4回おこないました。
 また、午後には、1/3の人には0.5mgのメラトニン入りの錠剤、1/3の人には
3.0mgのメラトニン入りの錠剤、そして残りの1/3の人にはプラセボ偽薬を飲ん
でもらいました。勿論本人にはどの薬を飲んだかは分からないようにしておき
ました。

 そして体調や睡眠の様子を調べたところ、時差ぼけ予防には先ほどの3点が重
要である事が明らかになったそうです。

 ところで、時差ぼけは、東に向かっていく旅行者ではこの睡眠サイクルが遅
れるために起こり、一方、西に向かう人は逆に睡眠サイクルが早まるために起
こります。今回の試験では、東に向かう人には有効だったそうですが、西に向
かう人については今後更に研究をすすめるとの事です。

 さて、この研究で用いられたメラトニンは、脳の松果体から分泌されるホル
モンで、体内時計として睡眠サイクルを調整するとされているもので、夕方か
メラトニンレベルが上がり始め、夜間最大になり、早朝に最も少なくなりま
す。
 最近ではこのメラトニンサプリメントは容易に手に入るようになっています
ので、東方面の海外旅行に行く方はお試しなさっては如何でしょうか?


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