グルコサミンやコンドロイチンは、膝関節炎の症状緩和には役立たない

●グルコサミンやコンドロイチンは、膝関節炎の症状緩和には役立たない!?

 グルコサミンやコンドロイチンは、膝関節炎の人の間で人気が高く、よく使
われるサプリメントです。
 ところが今回、少なくとも軽度の変形性膝関節炎の人には、あまり有効では
なさそうであるとの報告がありました。

 この研究は、ユタ大学医学部Daniel O. Clegg博士が行ったもので、権威あ
る英国医学雑誌New England Journal of Medicine(2006,Feb.23)
に報告されています。

 研究は、平均年齢が59歳の、変形性骨関節炎で膝に痛みがある1,583名の患
者さんを対象としたものです。
 これらの人を5つのグループに分け、第一のグループには一日1,500mgのグ
ルコサミンを、第2グループには1,200mgのコンドロイチンを、第3グループ
にはグルコサミンとコンドロイチンを同時に摂ってもらいました。また、第4
グループには200mgの痛み止め処方薬Celebrexを、第5グループにはプラセボ
薬を使用してもらい、それぞれの群での効果を比較しました。
 なお、効果判定には、少なくとも20%膝の痛みが少なくなった人を、有効と
しています。

 その結果、それぞれグルコサミン或いはコンドロイチン単独、および2つの
サプリメントを併用した群も、有効率にはプラセボ偽薬群とは差が見られませ
んでした。
 その一方で、かなり重症の患者さんでは有効の人もみられ、プラセボ偽薬群
では54.3%であったのに対し、2つのサプリメントを併用した場合では、
79.2%の人で有効だったそうです。

 これらの結果から、著者は、グルコサミン或いはコンドロイチン単独では殆
んど効果がなく、重症の患者さんにのみこれら2種を併用する有効な場合がある
程度であるとしています。
 そして、体重を下げて運動をし、必要ならばNSAID(非ステロイド性抗炎症薬)
を摂ることが最も有効で、痛みが激しい時に限り、サプリメントの併用使用に
ついて考慮しても良いとしています。

 しかし、今回の報告に対しては幾つかの疑問が寄せられています。
 例えば、同誌の批評欄には、メリーランド大学医学部のMarc C. Hochberg教
授が、今回の研究ではグルコサミン塩酸塩を用いているが、グルコサミン硫酸
塩を用いるべきで、その方がよい結果をもたらしたはずだと批判しています。

 また、今回の報告ではコンドロイチンとの併用を調べていますが、教授による
とサプリメンとを2種併用することについてはあまり分かっておらず、副作用の
面でのデータもなく、現時点では併用の効果については何も言えないとしていま
す。

 グルコサミンやコンドロイチンの、関節炎に対する有効性については以前か
ら様々な意見が交錯しています。一日も早く統一した見解となる事が望まれま
す。


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