シイタケ由来の高分子βグルカンが、進行がん患者のQOL改善。

● シイタケ由来の高分子βグルカンが、進行がん患者のQOL改善。

 キノコの多糖類は免疫を賦活する作用が知られ、日本では現在3製品が医療
用医薬品として実用化されています。

 キノコのうち、シイタケは日本人の食生活になじみの深い食用キノコですが、
免疫の活性作用、抗コレステロール作用などがあるといわれ、がんに対しても
効果があるのではないかと考えられてきました。
 シイタケには、多糖体βグルカンの一種であるレンチナンのほか、ビタミン
D前駆体、リノール酸オレイン酸アミノ酸、ビタミンB類、ミネラル、食
物繊維などが含まれているためです。

 実際に、シイタケの菌糸体から抽出された、免疫賦活剤「レンチナン」が、
標準的ながん治療に用いられています。
 ただし、これは抗がん剤としてではなく、免疫力を高める作用に補助的効果
があるとして、再発・進行胃がん抗がん剤テガフールとの併用に限り、保険
適用が認められているところです。

 さて今回は、シイタケ由来の高分子βグルカンを微粒子化した機能性食品、
「ミセラピスト」(味の素医薬カンパニー製)が、進行がん患者のQOL改善す
ることを、山口大らの研究で確認されたという話題です。

 これは第43回日本癌治療学会総会で、山口大学第2外科などの10以上の研究
施設が参画した研究結果です。

 報告によりますと、切除不能または再発がん(大腸、食道、胃がん等)の患
者さんに対して、化学療法と併用して、1日1回、15mgのレンチナンを含む100g
のミセラピストを連日、3カ月服用してもらいました。
 次いで、安全性、QOL、化学療法剤の副作用などを調べたところ、QOL評価で
は24例中改善11例(46%)、維持6例(25%)で、摂取前と比較して身体状況、
社会性の項目で有意な改善が認められました。
 副作用も32例中3例で下痢が認められた程度だったそうです。

 キノコの機能性食品については多くの企業がしのぎを削って研究しています
が、我々日本人になじみの深いシイタケですので、一日も早く治療に生かされ
る事を祈ります。


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 今日の話題は如何でしたか?

 ・既刊号は、ホームページ「http://www.drhase.info」をご覧下さい。

 ・メールマガジンをお届けしています。ご希望の方は、上記ホームページよ
  り登録なさってください。

 ・また、情報交換の場として、「http://d.hatena.ne.jp/Drhase/」のコメ
  ントコーナーもご覧下さい。