メラトニン:「時差ぼけに効果」は、本当?

メラトニン:「時差ぼけに効果」は、本当?

 メラトニンは脳の松果体から分泌される睡眠サイクルを調節するホルモンで、
メラトニンの分泌量は夕方から高まって睡眠へと導き、明け方には低下して起
床の準備を起こすとされています。このため、メラトニンは睡眠を助ける効果
があり、特に時差ぼけの予防や改善によいとして、人気となっています。

 ところが、最近の調査によると、メラトニンには睡眠障害を改善する効果は
なく、ある特定の条件下でのみしか効き目がないそうです。

 これはカナダ・アルバータ大学Terry Klassen博士らが報告したものです。
 米空軍予備役兵に、5日間にわたって眠気を抑える徐放性カフェインを飲んで
もらい、その後に5mgのメラトニンまたはプラセボ偽薬を摂ってもらいました。
 次に7時間の時差がある、テキサス州からフランスまで、休憩時間を取らず飛
行してもらいました。
 着陸後に睡眠サイクルが正常になっているかどうかを調べたところ、メラト
ニン摂取した群は、プラセボ偽薬を摂った人とは変化が見られず、やはり日中
には強い眠気を感じたそうです。
 また、カフェインを飲んで眠気を抑えた群だけでなく、ストレスを感じての
不眠にも効果がなかったそうです。

 その一方で、眠りにつくのに時間がかかったり、朝の起床にトラブルのある
人などのある種の睡眠障害には、短期間ですがメラトニンの効果が認められま
した。
 以上の結果を見ると、昨年はじめに報告されたような、メラトニンが時差ぼ
けの改善に有効であるという報告は疑問で、“メラトニンの効果は限定的で、
通常使用される夜間勤務や時差ぼけなどには効果がなく、ある種の睡眠障害
のみ使用するのがよさそう”という事になります。

 今回の研究結果はメラトニンを短期間使用した場合の結果ですので、長期間
摂った場合の効果も調べル必要があると思います。

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<心に効く、言葉のサプリメント

 「夢見ることができれば、やり遂げることもできる。」(ウォルト・ディズニー

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