山岳地で育つ人と、前腕が短くなる

<山岳地で育つ人と、前腕が短くなる>

 

 人は高地で育つと、成長するためにエネルギーを節約するため、腕が短くなる可能性があることわかりました。

 これは、英ケンブリッジ大学University of Cambridge)のステファニー・ペイン(Stephanie Payne)氏らが、英国王立協会(Royal Society)のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に報告したものです。

 それによりますと、高度3500メートル以上で生まれ育ったネパール人の男女について、同じ祖先を持つ低地出身の人々と比較したところ、上腕と手については差はなかったのに対し、前腕が短いことが分かりました。

 同様の結果は、ペルー人の子どもらについた研究でも明らかにされており、山岳地帯の過酷な条件がその一因と考えられるそうです。

 その理由として、山岳地帯では空気が薄いため、摂取可能酸素量が少なくなって食物のエネルギー変換が非効率となり、成長のために使えるエネルギーが減ることになります。

 そこで人体は成長のために利用できるエネルギーが限られている場合、どの部分が成長するかの優先順位を決めるのではないかとしています。すなわち、手先を器用に動かすためには十分な手の成長が不可欠ですし、腕力を得るためには上腕の長さは重要であるのに対し、前腕が短いことは特に問題がないのでは?という事のようです。

 研究者らによると、この現象に進化は関与しておらず、アンデスやヒマラヤのような大気が希薄な環境下に生まれる人々の身体は、胎児の段階から適応していると考えられるそうです。

 実を云うと、私自身も他人に比べて前腕は短いのですが、特に山で育ったことはないのですが・・・。