カロリー制限はやっぱり長寿に効果がある:論争に終止符

<カロリー制限はやっぱり長寿に効果がある:論争に終止符>

カロリーの制限は長寿に効果があるとする意見と、効果なんかないとする意見が対立していました。
しかし最新の研究で、やはりカロリー制限は長寿に効果があるとする結果が、米国の研究チームにより英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表されました。

・論文タイトル:Caloric restriction improves health and survival of rhesus monkeys
科学誌名: Nature Communications, 8 (14063), 2017, doi:10.1038
・著者: J.A.Mattison etal.

意見の対立の発端は、米国のウィスコンシン大学と国立加齢研究所がおこなったアカゲザルでの実験結果をめぐって相反する結果が得られたためでしたが、今回両チームが共同で実験データを再解析し、「効果あり」で結論が一致したそうです。

今回、両チームでの互いの実験を比べたところ、カロリー制限を始めた年齢がウイスコンシン大学の方は大人の7〜15歳なのに対し、研究所のは1〜23歳と幅広かったそうです。そこで、実験開始時の年齢を若年(1〜14歳)と中高年(16〜23歳)に分けて改めて解析したところ、若年でカロリー制限を始めた場合は寿命が延びる効果はみられなかったのに対し、中高年で始めた場合は効果がみられ、特にオスは平均寿命が全体よりも9歳ほど長くなっていることが分かりました。

また、両チームの解剖データを調べたところ、開始年齢や性別にかかわらず、カロリー制限をしたグループのほうが、がんの発生率が15〜20%ほど低く、更に糖尿病や脳卒中など加齢に伴う病気の発症も遅かったそうです。
以上の結果から専門家は、「論争に一つの終止符が打たれた。この結果は人間にも置き換えることができそう」との事です。