太っている人を批判するのは、かえって肥満の人の健康状態を悪化させ

<太っている人を批判するのは、かえって肥満の人の健康状態を悪化させる>

太っている事を批判して、肥満の人にダイエットさせようとしても効果がなく、むしろ心臓発作などのリスクを高めることになるそうです。
これは、米ペンシルベニア大学の研究チームの論文が医学誌Obesityに報告したものです。

論文タイトル: Association between weight bias internalization and metabolic syndrome among treatment‐seeking individuals with obesity
著者: RL Pearl他
医学誌名: Obesity 25 (2), 317-322

研究では、先ず減量治療薬の臨床試験に参加した肥満者成人159人を対象に、うつ病と肥満体重に関する質問調査を行いました。
その結果、「自分は太っているから怠け者で、魅力的でない」などの自己否定的な回答を多くの肥満体被験者が行っていたそうです。

次にこれらの被験者たちにメタボリック症候群の件さや、心臓病、2型糖尿病など肥満関連疾患の危険因子となる中性脂肪値、血圧、胴囲の測定を行ったところ、自己否定感が強い人ではメタボリック症候群になるリスクが3倍高く、中性脂肪の値も6倍高いことが分かりました。
この結果から、「太っている事に対する批判は、肥満の人たちが減量や健康改善に取り組む動機付けになるとの考えは間違いで、逆に、運動を避けストレスから過食に走りがちになる」と考えられるそうです。
また、“怠惰で無能で容姿は悪く、意志も弱い”などと批判されるために、精神的にも追い詰められて心臓疾患や心臓発作、糖尿病のリスクが大きく上昇するという事です。
研究者らは、「肥満の人たちを責めたりすることは、減量させるために効果的でなく、むしろこのようなメッセージを差別的と受け取り、更なる病気を誘発する可能性もある」と訴えています。