歯がない人は、精神的、肉体的、経済的に不利

<歯がない人は、精神的、肉体的、経済的に不利>


 高齢者で歯が全くない人は、歯が20本以上ある人に比べて抑うつになるリスクが1.28倍も高いそうです。
 これは神奈川歯科大学の調査で分かったもので、65歳以上の約1万4000人を対象に歯や口の健康と精神的な健康の関係を調べた結果、半年前に比べて固いものが食べにくくなったと感じている人は、気分が落ち込むなど抑うつの状態になるリスクが1.24倍高いことがわかりました。
 また、「歯が全くない人」は、「歯が20本以上ある人」に比べて1.28倍、抑うつ状態になるリスクが高いそうです。

 さらに、このように精神的な事だけでなく、疾病にかかる割合や経済的にも有益な事も報告されています。
70歳以上の高齢者で、自分の歯が20本以上残っている人は、4本以下の人と比べ、身体の病気で費やす医療費が1か月平均で約9,000円も少ないそうです(兵庫県国民健康保険団体連合会, H15年調査報告)。
 また、パーキンソン病アルツハイマー病など神経系の病気が原因での通院日数は、残存歯数20本以上の人が平均2.17日なのに対し、19本以下の人は3.56日と1.6倍でした。
 循環器疾患でも20本以上が2.46日に対し、19本以下は2.82日と、残った歯が多い人ほど、通院日数が少なく健康なことがわかりました。
 歯周病菌が糖尿病や心筋こうそくなどの一因になる事が報告されていますが、口の中の衛生状態を良好に保つことが出来れば、自前の歯で食事をおいしく頂けるだけでなく、精神的にも、肉体的にも健康で、経済的な負担も少なくてよく、いいことづくめのようです。