がんの発症率は、個人の免疫力に関係する

<がんの発症率は、個人の免疫力に関係する>

 癌になりやすい家系とそうでない家系がある事はよく知られています。
 遺伝が関係している訳ですが、実際に免疫力の個人差が肺がんの発症しやすさと関係していることが分かりました。
 これは、国立がん研究センターなどのチームが、科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表したものです。

・論文タイトル: Association of variation in HLA class II and other loci with susceptibility in EGFR-mutated lung adenocarcinoma
・著者: T kohno 他
・医学誌名: Nature Comunications 7, 12451(2016)

 肺がんはがんの中でも最多の発症数で、年間約7万4000人が亡くなります。
 その中でも最も多い「肺腺がん」は、たばこを吸わない人も発症することが多く、予防が難しいことが知られています。

 そこで研究では、肺腺がんの約半数を占める特定の遺伝子に変異を持つがん患者さん約3000人と、がんを患っていない正常人約1万5000人を対象にして、約70万か所の遺伝子のパターンの違いを比べました。
 その結果、多くのがん患者の遺伝子には、新発見の2領域を含む6領域に特有のパターンがある事が分かりました。
 そして、その中でも免疫に関与する遺伝子領域に特有のパターンを持つ人では、特有のパターンのない人に比べて、1・3倍程度がんになる危険性が高かいことが明らかになりました。

 この成果は生活習慣などを組み合わせた肺がんの発症予測や予防、治療などに役立つものと期待されていますが、一刻も早い進展が望まれます。