肥満と不眠症の原因:夜食症候群

<肥満と不眠症の原因:夜食症候群>


夕食や夜食の摂取カロリーが1日の4分の1〜2分の1になっている場合や、就寝中になにか食べたくなり目を覚ましてしまう人は「夜食症候群」なんだそうです。
アメリカの研究では、肥満者の1〜2割はこの夜食症候群で、しかも重度の肥満であることがわかっています。
 悪いことにこの夜食症候群は、肥満だけでなく不眠にもつながります。

午前中は頭が働かないという人は、夜食によって夜間の血糖値が上昇し、睡眠中にインスリンが過剰に分泌されるために、翌朝には低血糖状態になっている可能性があるそうです。
 また、体内時計の乱れを引き起こすこともその原因になっているようで、日本大薬学部の榛葉繁紀講師らが米国科学アカデミー紀要(Proceeding of the National Academy of Science)に報告しています。

 生体リズムを刻む体内時計を調節している「BMAL1」と呼ばれるたんぱく質は、昼間は体内でほとんど作られず、深夜になると増えるものだそうです。
 また、細胞内にこのBMAL1量が多いと脂肪の量も多くなることに、研究者らは注目しました。
 そこで遺伝子操作を利用して、BMAL1を持たないマウス細胞を作り、脂肪の蓄積の様子を調べました。
 その結果、この細胞にインスリンなどを加えて、栄養過剰の状態にしても、細胞内の脂肪は増えない事が分かったそうです。
 逆に、BMAL1をほとんど作らない細胞に、BMAL1を大量に作らせるように遺伝子操作を施したところ、細胞内には脂肪が蓄積される事が分かりました。
 さらに、BMAL1は脂肪酸コレステロールの合成を促進していることも確認できたため、BMAL1が脂肪の蓄積に必要だと結論づけたそうです。
 研究者によると、体内のBMAL1量は午後10時から午前2時ごろが最高となり、最も少ない午後3時ごろの約20倍に達するそうですので、これをもとに夜遅くの食事を避けるようにすれば肥満と不眠症の予防が可能ではないかという事です。