思春期に受けたストレスが、その後のうつ病の原因に。

<思春期に受けたストレスが、その後のうつ病の原因に。>


思春期に受けたストレスが、成人後に精神疾患の原因になりうる事が明らかになりました。

これは名古屋大学京都大学との共同研究グループが、マウスを使った実験で解明したもので、有名科学誌のサイエンス誌に発表されています。


論文タイトル: Adolescent Stress–Induced Epigenetic Control of Dopaminergic Neurons via Glucocorticoids
専門誌名: Science, 18 January 2013 Vol. 339 no. 6117 pp. 335-339 DOI: 10.1126/science.1226931
著者: Minae Niwa 他


うつ病などの精神疾患は、成長・発達期の心理的ストレスなども原因とされていますが、発症する詳しい仕組みは明らかになっていません。

そこで、共同研究チームは精神疾患の発症に関係するとされる遺伝子を持つマウスを人為的に作製しました。
次に、人間の思春期にあたる生後5〜8週の時に集団から隔離して飼育しました。

すると、音に過敏に反応したり、意欲が低下するなどの症状が表れることが分かりました。
それに対し、集団の中で飼育した場合はマウスの行動に異常は生じなかったそうです。

この時、発症したマウスは血液中のストレスホルモンの量が増えていました。
そして、注意力や意思決定に関係する神経回路では、神経伝達物質ドーパミンが減り、働きが鈍っていることも確認できたとの事です。
一方、幻覚や妄想にかかわるとされる脳の部分では、刺激を受けるとドーパミンが増えていることが明らかにになりました。


以上の結果から、思春期に受けたストレスが原因となり、将来成熟後の意志決定や注意力に関係する脳の神経回路に異常が起きると結論されています。