がんで、夫婦生活が破綻しないために

<がんで、夫婦生活が破綻しないために>


私の知り合いの奥さんが乳がんになったのですが、その後の旦那さんの愛情あふれる看病で、立派にがんから立ち直られた方を存じ上げています。
夫婦愛の強さを感じ入ったものです。

ところが最近の論文に、"がんは結婚生活への大きな重圧となり、特に奥さんが癌である場合には、夫婦が離婚する確率が、夫が患である場合よりも6倍高い"ことが報告されていました。

気になる論文でしたので、取り上げてみました。
これは、米国シアトル癌ケア連合(SCCA)のMarc Chamberlain博士らが、がん専門医学誌 Cancer (2009, Nov. 15 issue)に報告したものです。

研究は、2001〜2006年に脳腫瘍などの癌および多発性硬化症(MS)の、米国の患者さん515人について調べたものです。

ちなみに、以前の研究で、夫婦のいずれかが癌になると、12%の夫婦が離婚に至ることが報告されていました。

今回の研究では、その夫婦のうちのどちらが癌になった場合、離婚に至る率が高まるかを調べられています。

その結果、夫が癌になった場合は離婚に至る夫婦は3%だったのに対し、妻ががんになった時には、離婚の頻度が21%に高まることが分かりました。

この結果は、生命を脅かすような疾患をもつ患者家族全般に当てはまるものと考えられ、夫婦間では特に注意する必要があると著者らは指摘しています。

ただ、結婚生活の長い夫婦では、そのような夫婦間の危機を乗り越える率が高かったそうです。

従って、女性が重篤な疾患に陥り、且つ結婚生活の短い夫婦の場合には要注意ということになります。


早期に夫婦間の不和をなくすように努め、お互いに協力し合ってがんと戦うようになさってください。
そうすれば、それが元での離婚などの家庭破綻を防止し、生活の質(QOL)や、治癒率も向上できます。

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