ビールの飲みすぎは、悪性度の高い前立腺がんを発生しやすくする

<ビールの飲みすぎは、悪性度の高い前立腺がんを発生しやすくする>


3月も半ばになり、いよいよ花見のシーズンが目の前です。
卒業式入社式なども重なり、アルコールを飲む機会が増えますので、飲酒にかかわる話題をお送りします。

飲酒、特にビールを飲みすぎると、悪性の前立腺がんになるリスクが高まるという話題です。

これは、Fred Hutchinsonがん研究所Alan R. Krista氏らが、がん専門誌Cancer (2009, July 13 Issue)に報告したものです。

研究は10,000人以上の男性について調べたもので、アルコール摂取量の多い人(アルコール量として1日50g以上飲む人)では、それほど飲まない人に比べて少なくとも2倍以上、悪性の前立腺がんになる頻度が高くなっていることが明らかになりました。

通常の前立腺がんは、それほど悪性度は高くありません。
前立腺がんの増殖度が非常に遅いためで、ほぼ100%の人が10年以上の生存できるといわれています。
ところが、悪性の前立腺の場合は、10年間の生存率は60-70%と非常に悪くなってしまいます。

今回の研究で、1日大瓶2本以上のビールを飲む人に、この悪性前立腺がんの頻度が高いことが示された訳で、飲みすぎには充分注意する必要があります。

また、この研究では、フェナステリド(フィナステライド、商品名:プロスカール、プロペシア)のような前立腺がんの治療薬の有効性への飲酒の影響も調べられています。

その結果も、アルコール摂取により、フェナステリドの抗がん作用が大幅に低下しており、抗がん剤服用中のアルコールは厳禁である事が改めて明らかにされています。


さて、今までの研究で、頭頚部癌、食道癌、乳がんなどの発がんは、飲酒と強い関連があることが明らかになっていますが、今回の研究で、前立腺がんにも当てはまることが確認されたことになります。

ちなみに、ワインや他のお酒では、そのような関係は見られなかったと論文には書かれています。
また、適当量の飲酒をする人でも、前立腺がんのリスクは特に高まっていなかったということですので、一安心?


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