美容サロンの日焼けも、皮膚がんのリスク

<美容サロンの日焼けも、皮膚がんのリスク>

 町を歩いていると、安全な日焼けをうたった日焼けサロンを目にします。
 そんな"安全な日焼け"などあるのかな?と思っていたのですが、今回、そんなものは存在しないとする研究が2つ別個に報告されていました。

 これは、医学研究誌Pigment Cell & Melanoma Research(2008, Octover issue)に報告されているものです。

 最初の論文は、ニューメキシコ州アルバカーキニューメキシコ大学保健科学センターの内科学教授Marianne Berwickが報告しているものです。

 米国ニューメキシコ州では紫外線が特に強いために、直射日光は皮膚ガンの危険性があることは住民の間でも良く知られています。
 その一方で、褐色の肌は健康美をイメージさせるため、美容のための"日焼け産業"が非常に盛んとなっており、日焼けサロンが人気なのだそうです。

 しかしこの論文では、「紫外線は何処で浴びようが安全なものではなく、皮膚ガンの主な原因」と警告しています。そして、「紫外線はビタミンDの産生に必要だとする反対意見もあるが、このような意見は必要以上に強調されすぎ」と述べています。

 同じ医学誌に掲載されているボストン・マサチューセッツ一般病院ガン科学のMelanoma Program博士の論文でも同様の主張がされています。

 ご存知のように、皮膚ガンは西洋諸国でよく見られる悪性腫瘍で、米国だけで2008年には新たに100万の患者が発生しており、また全人口の1/5の人が一生の間に皮膚ガンになるそうです。

 紫外線の暴露が、この皮膚ガンの主要原因なことは科学的にも証明されています。
 しかしながらその一方で、日焼けサロンビジネスが成長し続けており、1992年以来5倍に増加しています。
 また、日焼けサロン業界は、室内での日焼けと皮膚ガンのメラノーマとは直接の関係なく、紫外線は様々な疾病の予防に有用なビタミンDを作るのに必要である、と宣伝しています。

 この状況に危機感を抱いた論文の著者らが、「紫外線はガン発生の引き金となり、安全な日焼けなど存在しない」と改めて強調したものです。
 そして、ビタミンDはそれ以外のより安全な経路でも作られるし、更にサプリメントからも摂ることが出来る。特にがんのリスクを考えると、日焼けサロンなどで紫外線を浴びるのは問題であると強調しています。

 なお、WHO等の国際的公的機関によると、18歳以下の人は日焼けサロンなどでの日焼けの禁止を勧告しています。

 勿論、太陽に当たること自体を問題視しているわけではありません。
 太陽に当たると開放感もえられ、精神的なメリットも十分にあります。
 また体内時計を調節するにも重要です。

 しかし、ここで問題としているのは、太陽による自然の量の紫外線以上に、わざわざ褐色の肌を求めて浴びることに対してで、特に若い女性はよく考えて下さいね。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 今日の話題は如何でしたか?

 ・既刊号は、ホームページ「http://www.drhase.info/」をご覧下さい。

 ・メールマガジンをお届けしています。ご希望の方は上記ホームページより登録してください。

 ・また情報交換の場として、「http://d.hatena.ne.jp/Drhase/」のコメントコーナーもご覧下さい。