ハチミツの殺菌作用:抗生物質耐性菌にも効果

<ハチミツの殺菌作用:抗生物質耐性菌にも効果>


 ミツハチは働き者で、巣作り、子育て、花の蜜の採取など休みなく働いています。
 人間様は、彼らの集めたハチミツを一部分けてもらうという生活を、数千年にわたって続けていることになります。

 このハチミツには単に甘みがあるだけでなく、のどの痛みを和らげる効果があるために、カナダでは紅茶やお湯にハチミツを入れて飲んでいました。

 実際、過去の実験で、耳鼻咽喉系の細菌感染症に対して有効で、原因菌を殺菌することが分かっていました。

 今回更に、このハチミツは、このところ重大な問題となってきた、慢性の感染症抗生物質耐性菌に対しても有効なことが分かった、と言うニュースです。

 シカゴで行われた米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会の年次会議で、オタワ大学のカナダ人研究者が発表したものです(論文タイトル: Effectiveness of Honey on S. aureus and P. aeruginosa Biofilms. Authors: Talal Alandejani, MD (presenter); Joseph G. Marsan, MD; Wendy Ferris, BSc, MLT, MSc; Robert Slinger; Frank Chan, PhD. Date: September 23, 2008.)

 それによりますと、ニュージーランド産のマヌカハニーとイエメン産のシドルという木から取れるハチミツで実験を行ったところ、これら2種類のハチミツは細菌を完全に殺菌する効果が確認されました。

 また、このハチミツは、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌などの11種の細菌に対して有効で、通常使用される抗生物質に比べても遜色のない強い殺菌効果があることが分かったということです。

 特に、慢性的な感染症を引き起こす、副鼻腔、尿道、心臓弁などで形成される細菌集合体にも有効でした。
 さらに、治療が困難な慢性副鼻腔炎を起こす薬剤耐性菌に対しても、強い効果が認められたそうです。

 ただし、すべてのハチミツに同様の能力があるわけではなく、カナダ産のクローバーなどから集めたハチミツはまったく効果がなかったということです。

 これまでのところ、ハチミツのどの成分が細菌を殺すのかは不明で、今後は殺菌のメカニズムの解明する必要とされています。

 さて、日本でも養蜂業が盛んで、ハチミツは健康食品の代表です。
 日本産のハチミツにもその様な効果があるかどうか、気になるところです。


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