盲腸炎は大気汚染が原因?

<盲腸炎は大気汚染が原因?>


 ご存知のように、盲腸炎は急性腹痛の症状をともなう病気です。専門的には急性虫垂炎と言います。
 突然、右下腹部が痛み出し、息も出来ないくらいの痛みがおこります。すぐ病院へ行ってみてもらわないと大変なことになります。

 幸い我が家では盲腸炎になった者はいませんが、誰でも盲腸炎にかかる可能性があり、生涯に盲腸にかかる率は7%だそうです。

 さて、大気汚染がひどいに日は、盲腸で入院する人が増えることが分かりました。

 これは、カルガリー大学のGilaad Kaplan博士が、2008年度米国消化器学会で報告したもので、大気汚染が盲腸などの炎症のリスクを高める、と結論されています。

 研究では、1999年〜2006年の間に盲腸炎で入院した45,000人について調べました。
 すると、大気汚染の尺度であるオゾン量が高いに日に入院した患者さんが、オゾンの低い日よりも15%も高いことが明らかになりました。

 同様に、二酸化硫黄、二酸化窒素のような汚染物質が多く観察された日にも、盲腸による入院患者さんの数が多かったそうです。
 そして、特に外出する機会の多い夏の期間に多く、これは大気汚染の影響を受けたためとされています。

 今までの研究でも、大気汚染は炎症と関係した疾病を引き起こすことが報告されていますが、この研究者によると、大気汚染が腸組織への血流を悪くし、特に盲腸のような突起物に障害が出やすいのではないかということです。


 さて、盲腸は痛みを感じたら取ってしまえばいいと思っている人がいるかも知れませんが、最近の学説では、盲腸は重要な役割をしていると考えられるようになってきました。
 実際、胎児から11歳までの間には、盲腸の中の内分泌細胞は成長に欠かせない各種な免疫細胞を作り出します。
 即ち、盲腸は免疫機能を高める役割を持つという訳です。

 したがって、耐え切れないほど痛みを感じたり、合併症が起きたり、或いは盲腸がんの場合は、手術をして取ったほうがいいようですが、その他の場合はなるべく盲腸手術をせず、保存療法を行った方が良いようです。


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