豆腐を沢山食べると、痴呆になる?

<豆腐を沢山食べると、痴呆になる?>


 豆腐や納豆は日本だけでなく、アジアの誇る大豆食品です。
 大豆製品は、発展途上国における貴重な蛋白源としてだけでなく、先進国でも健康食として、"スーパーフード"とされています。

 ところが、豆腐製品を食べると、記憶力を低下させる可能性が報告されました。
 今までは、大豆製品が脳のダメージを軽減するので脳機能にもよいはず、とされていましたので、ちょっとショックな話題です。

 これは、インドネシアのラフバラ大学Eef Hogervorst教授らが、痴呆関連医学誌journal Dementias and Geriatric Cognitive Disorders誌に報告したものです。

 大豆製品には、植物エストロゲンと呼ばれる成分が豊富に含まれており、女性ホルモンのエストロゲンと同様の作用があるとされています。

 ところが、エストロゲン治療を受けた人は痴呆になるリスクが高く、65歳以上では痴呆のリスクが2倍に高まるという報告が、最近発表されていました。

 一方、インドネシアでは、テンペとよばれる大豆発酵食品をよく食べます。
 このテンペは、大豆を煮た後テンペ菌(クモノスカビ)で発酵させて作られる食品で、納豆菌で発酵させる日本の納豆に比べて臭気はなく、また糸も引かない伝統食品です。

 このテンペには、ビタミンの葉酸が豊富に含まれており、痴呆を抑制したり、記憶力の改善によいと信じられています。

 そこで、このテンペが、本当に痴呆の予防によいのか、或いは逆に痴呆を高めるのかについて、ジャワ地域に住む719名のインドネシア人高齢者を対象に調べました。

 その結果、テンペを1日1回以上食べた高齢者は、記憶力が低下しており、痴呆になるリスクが高いことがわかったそうです。

 そして、エストロゲンは細胞の増殖を高める効果がありますが、それは高齢者の脳には必要なく、逆に、高用量のエストロゲンは細胞に障害を与えるフリーラジカルの作用を強めるのではないか、とされています。

 一方、この報告には疑問の点も多く、例えばテンペを食べたことによるものではなく、インドネシアでよく防腐剤として使用されるホルムアルデヒドがテンペに混入していたのではないか、との批判もあるようです。

 しかし、高齢のアメリカー日本人二世の痴呆のリスクが、豆腐の摂取と関係しているとの報告もあります。
 豆腐をはじめとした大豆食品は、様々な成分が含まれている複雑な食品ですので、脳に何らかの作用を起こす可能性は考えられます。

 スーパーフードとして人気が高まっている大豆食品だけに、脳の機能によいのか悪いのかを明らかにするために、更に詳しい研究がまたれます。


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