緑茶が乳がんを抑える

<緑茶が乳がんを抑える>


世界的に乳がん患者さんが増加の一歩をたどっています。
日本人をはじめとしたアジア人は、比較的乳がんには罹りにくいといわれているのですが・・・。

アジア人が乳がんになりにくい理由として、大豆食がよいとか、緑茶を飲むためだとか言われてきました。

実際、緑茶には生体細胞のダメージや老化を抑制するのに役立つと考えらている抗酸化物質EGCG(エピガロカテキン-3-ガレート)が豊富に含まれています。

さて、緑茶とEGCGとを併用することにより、乳癌を含む様々な癌に対する予防効果があることが報告されていますので、その話題を。

これはミシシッピー大学のGu博士らが、21回全米生理学大会(2008年4月8日)で報告したものです。

今までも疫学的研究では、緑茶やその主成分であるEGCGが癌の発生を抑えことが示唆されていました。
しかしこれらの報告は、がん患者数を統計的に解析した疫学調査によるもので、緑茶やEGCGの抗がん作用を調べたものではありませんでした。

そこでこの研究者らは、EGCGを摂取した際のがん発生に対する影響を、科学的手法を用いて調べました。

7週齢の雌マウスに、EGCG (1日に体重1kgあたり約50-100 mg)を与え、5週間飼育しました。
2週間後に、マウスの左乳腺部に乳癌細胞を移植し、その後の腫瘍組織の増大の様子を測定ました。

また同時に、がんの増殖に重要な役割を持つVEGF (vascular endothelial growth factor, 血管内皮細胞増殖因子)や血管新生の様子を調べました。
なお、がん組織は、増殖に必要な栄養分を得るため、がんの周りに血管を新たに作り出す事がわかっています。

すると、EGCG摂取群では、癌のサイズ(66%)、癌重量(68%)、癌組織の微小血管(155±6 vs.111±20)および、VEGF値(59.0±3.7 対 45.7±1.4 pg/mg)が顕著に低下していることが明らかになりました。
また、血漿VEGF値も、EGCG群では明らかに低下していました(40.8±3.5 vs. 26.5±3.8 pg/ml)。

以上の結果から、EGCGは血管新生を抑制するため、癌組織への栄養分の供給を抑えることができ、その結果、乳癌細胞の増殖が抑制されることが明らかになりました。


勿論、詳しい研究はこれからですが、大いに緑茶は期待できます。
日本の誇る緑茶を、今後も沢山おのみになってください。


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