ビタミンEは、アルツハイマー患者さんの生存期間を長くする

エプリルフールの日ですが、今日も真面目な話題です。


<ビタミンEは、アルツハイマー患者さんの生存期間を長くする>


世界的な高齢化社会の訪れとともに、アルツハイマーの患者さんが非常に多くなっています。
この患者さんは、発症後には早期に亡くなることが知られています。

今回、1日2,000単位の高用量のビタミンEを摂ると、アルツハイマー患者さんの生存期間が26%も延長することがわかりました。

これは、ヒューストンBaylor医科大学アルツハイマー病センターのValory Pavlik準教授が、シカゴで開かれた全米神経学会(2008, April 15)で報告したものです。

研究はアルツハイマー病と診断された847名の男女の生存率について(2/3が女性で、平均年齢74歳)、15年間にわたって調べたものです。

2/3の患者さんに、ビタミンEとアルツハイマー疾患薬のコリンエステラーゼ阻害剤を併用投与しました。

なお、コリンエステラーゼ阻害剤は、脳神経伝達物質アセチルコリンの分解を抑制するものです。もともと、アルツハイマー患者さんはアセチルコリンの分泌が低下していますが、この分解を抑えることにより、脳機能の低下を防ぐというものです。

また、残りの患者さんにはビタミンEのみ、あるいはビタミンEもコリンエステラーゼ治療も行わなかったそうです。

その結果を、年齢、性別、教育歴、人種、民族、症状などを考慮に入れて分析したところ、毎日ビタミンEを摂取している患者さんでは、生存期間が26%も延長していることがわかりました。

この結果から、ビタミンEとコリンエステラーゼ阻害剤を併用するとその効果が高まり、特に2,000単位のビタミンEを摂取することが有効であったと結論されています。

その一方で、そのような高用量のビタミンEを摂取することは、正常の人には適当でないとも強調されています。

脂溶性ビタミンは、取りすぎると体の脂肪分に蓄積し、悪影響を及ぼす可能性があります。

実際、ビタミンEの摂取量が多いと冠状動脈性心臓病のリスクを上げることが報告されています。
ある文献では、1日400単位以上摂取すると、8年間の追跡期間中の死亡率がビタミンEを取ってない人にくらべて10%も高いことが報告されています。


一般の人にもそのまま適用できるかどうかは別として、少なくもアルツハイマーの患者さんにとっては有用な知見です。


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