ビタミン剤やサプリメントで、多剤耐性結核に負けない体を創る

<ビタミン剤やサプリメントで、多剤耐性結核に負けない体を創る>


大正・昭和の時期、結核は日本人にとって最大の脅威でした。

現在は結核はどちらかというと高齢者の病気という感じですが、世界規模では未だに発展途上国を中心に約18億人の感染者がいるといわれています。
そして、今だに年間800万人の新患者、約200万人の死亡者が出ています。

最近では、多剤耐性結核菌の増加、HIV感染による結核患者数の激増など新たな課題も生じており、再興感染症として世界的な対策の強化が必要です。
勿論、日本も例外ではなく、結核は過去の病気とは言えなくなっています。

特に危機感を感じるのは、MDRと呼ばれる多剤耐性菌の出現で、更に耐性度が強いXDRの結核菌も広がりつつあります。
このような結核菌が蔓延すると、戦前のような多くの有望な青年が亡くなったあの時代に再び舞い戻る可能性もあります。

先日も、都内のインターネット・カフェで多剤耐性結核に感染したという青年がTVに出ていましたが、我々とは無縁ではないのです。


さて、今回、サプリメントを摂って栄養状態を良くすると、結核発症のリスクが下がることが研究で明らかになりました。

これは、ハーバード大学保健学部のEduardo Villamor博士らが、医学誌The Journal of Infectious Diseases(2008, June 1 isuue)に報告したものです。

研究では、結核蔓延国の一つであるタンザニアにおいて、結核患者さんに、ビタミンA,B、C,E及びセレンなどを投与し、その効果を調べました。

なお対象は、結核治療中の887名の患者さんで、うち471名はHIV結核の同時感染者だったということです。

43ヶ月にわたって追跡調査した結果、このような栄養補助により、結核の再発頻度が大幅に低下することが明らかになりました。

実際に、サプリメントを服用した場合には、結核菌が一旦消失した後に再発する頻度は、全体では45%、HIV重複感染者では63%低下していたそうです。
また、末梢神経障害の再発頻度も、57%低下させることも明らかになりました。

さらにHIV非感染者の免疫応答に重要な、CD3, CD4細胞が増加しており、特にHIVとの重複感染者の場合効果が高いことがわかりました。

以上の結果から、結核患者さんは抗結核薬の服用と共に十分な栄養、場合によってはビタミンサプリメントの服用が重要であると結論されています。


さて、多剤耐性の結核菌が蔓延しはじめたら、薬では対応できなくなります。
そして、国内でも多くの人が亡くなる事態が危惧されます。

それには対抗するには、唯一自分自身で栄養状態を管理し、免疫力を高めておくことが益々重要になります。


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