バイアグラは、幸福感をもたらす“愛情ホルモン”の分泌も高める。

バイアグラは、幸福感をもたらす“愛情ホルモン”の分泌も高める。


 バイアグラと聞くと、ちょっと後ろめたい気がするお薬ですが、単に男性器
を元気にするだけでなく、精神的な愛情も高めるかもしれない、というお話で
す。

 バイアグラのような勃起不全のクスリは、愛情と関係したホルモン分泌も高
め、肉体的なセックスより以上のものを、男女にもたらす可能性があるのだそ
うです。
 これは、ウイスコンシン-マディソン大学生理学教授Meyer Jackson博士らが、
生理医学雑誌のJournal of Physiology(2007, September issue)に報告したも
のです。

 その報告によりますと、バイアグラ(成分名シルデナフィル)が、ラットの
脳下垂体に作用し、脳内ホルモンであるオキシトシンの分泌を上げることがわ
かりました。

 さて、オキシトシンというホルモンは、通常は母親が子育てや出産時に分泌
されるものですが、同時にオルガスムやセックスの喜びなどの感情にも関係し
ていることが、最近の研究によりわかっています。
 元々オキシトシンは、乳腺房の中にある母乳をおしだす働きのあるホルモン
として知られていたのですが、興味深いことに、ママが子供におっぱいを吸わ
せるとその刺激が脳に伝わり、オキシトシンの分泌を高めることがわかってい
ます。
 そしてこの働きにより、子供には母乳が、ママには幸福感が高まるというわ
けです。
 さらに最近では、男性に対しても、性欲や性機能を高める機能があることが
わかってきています。

 バイアグラは、製薬会社のファイザー社が製造販売しているED治療薬で、
5型フォスフォジエステラーゼPDE-5の特異的阻害剤です。
 同様のクスリとしては、イーライ・リリー社がシアリスタダラフィル)や、
ラクソフミスクライン社がレビトラ(バルデナフィル)などで、これらはい
ずれもPDE-5の阻害剤です。

 これらのクスリはPDE-5を阻害して筋肉への血流を増加させますが、今回の
研究で、同時に脳の下垂体後葉部にも作用する事が示されたのです。

 この作用は、今のところラットでの証明にすぎませんが、同様の機構はヒト
にも当てはまるだろうということで、大変な注目が集まっています。

 即ち、現在ED薬として使われているバイアグラなどのクスリは、単なるED治
療以上の、愛情をもたらすクスリとなる可能性も秘めているという訳です。

 ヒトでの証明が待たれますね。


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