緑茶は、フケや乾癬などの炎症性皮膚炎に有効。

●緑茶は、フケや乾癬などの炎症性皮膚炎に有効。


 緑茶には強い抗酸化作用があり、がんなどの発生を抑えることが報告されて
います。

 今回さらに、緑茶には、乾癬やふけ等の皮膚疾患の治療に有効であることが
報告されました。
 これは、米国ジョージア大学医学部のStephen Hsu博士が、皮膚科学会誌 Experimental
Dermatology(2007, Aug. 18 edition )に報告したものです。

乾癬は、皮膚細胞の増殖のコントロールがうまくいかず、皮膚が厚くなる疾病
です。
感染防止に機能する免疫細胞が、炎症性のサイトカインが過剰に遊離されるこ
とにより、皮膚細胞の過剰増殖が起こるとされています。
また、皮膚細胞の寿命を調節するカスパーゼ-14などがうまく機能できなくなり、
通常は分化後に死滅し、皮膚のバリアーを形成するはずの細胞がそのまま増殖を
続けてしまうことが原因、とされています。
このような皮膚細胞の異常増殖は、狼瘡lupusの様な自己免疫疾患でも起こり、
皮膚障害をもたらしてフケの原因となります。

今回の研究では、炎症性皮膚疾患の動物モデルを用い、緑茶成分が皮膚細胞の
細胞増殖にどのような効果をもたらすかを調べました。

その結果、緑茶を与えると、皮膚細胞の増殖の際に発現される増殖性細胞核
原(proliferating cell nuclear antigen, PCNA)のレベルが減少することがわ
かりました。

ちなみに、乾癬ではこの遺伝子が過剰発現し、また皮膚細胞の増殖速度が高ま
っていることがわかっています。
実際、緑茶を与えない場合では、通常は皮膚細胞が分裂する基層でしか見られ
ないPCNAが、皮膚の表面の全ての層で観察されました。

ところが、緑茶を与えた場合では、正常の皮膚組織と同様に、PCNAは基層でし
か発現しなくなることが明らかになりました。
 即ち、緑茶には、PCNAの異常発現を抑制し、正常な皮膚細胞の分化が起こす作
用があり、緑茶成分が乾癬などの免疫疾患に有効である可能性を示しているわけ
です。

 現在の乾癬などの皮膚疾患の治療は、紫外線照射や強い薬品を用いた化学療法
が一般的ですが、このような治療法は副作用が強く、時には皮膚がんのリスクを
高めることが危惧されています。
 また、市販のふけ防止のシャンプーにも発がん作用があることが知られていま
す。
 一方、緑茶は副作用がほとんどないので、今後有望な治療法となりうると期待
されている訳です。

 緑茶は日本の誇る健康飲料です。この緑茶の効果が日々明らかになってきてい
ますが、頼もしい限りです。


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