大豆食品は、本当に乳がんの発症率低下に役立つのか?
●大豆食品は、本当に乳がんの発症率低下に役立つのか?
以前から日本をはじめとしたアジアの女性は、乳がんに罹りにくいことが知
られています。
最近の研究によりますと、西洋人女性では10万人当たり133人が乳がんにな
るのに対し、アジア女性では約39名とされています。
しかし、アジア人女性が米国などに移住した場合には、乳がんの発症率が上
昇することから、遺伝的な人種差ではなく、食べ物や生活環境に原因があるの
ではないかとされています。特に、豆腐や味噌、納豆などの大豆食品を食べる
ことと関係があるのではないかといわれているようです。
そこで最近、ジョンホプキンス大学の研究者らが、大豆食品を食べると実際
に乳がんの発症率が低下することを報告していますので、お知らせします。
これは、Johns Hopkins大学医学部Bruce Trock助教授らが、1978年から2004
年までに報告された18の疫学調査報告を再解析したもので、米国がん研究会誌
the Journal of the National Cancer Institute(2006, April 5 issue)
に報告されたものです。
それによりますと、大豆食品を多く摂る人は、乳がんの発症率が14%低下し
ていることが明らかになりました。特に更年期前の人の場合にその効果が高か
ったそうです。
その一方でこの報告に対して疑問を呈する研究者もおり、例えばネズミに大
量の大豆食品を与えた場合には、逆に乳がん細胞の増殖が高まったという研究
結果も報告されています。
今のところ大豆食品が実際に乳がんの発症を抑えるのか、あるいは逆に乳が
んの危険率を増すのかは明らかではありません。しかし何らかの影響があるの
は間違いなさそうですので、一日も早い結論を知りたいものです。
ちなみにご存知のように、大豆に多く含まれるイソフラボンにはホルモン用
活性があり、それが関連していると考えられています。
なお、健康に対する大豆食品の効果については、 米国FDA(Food and Drug
Administration)のホームページに詳しく記載されていますので、興味のある
方は是非ご覧になってください。
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