老化:DNAダメージを修復できないと、老化が早くなる。
●老化:DNAダメージを修復できないと、老化が早くなる。
エイジング(老化)のおおきな原因として、紫外線によるDNA障害がよく知
られています。
実際、漁師さんや農夫の方など、紫外線を多く含む太陽光に曝される人は、
実年齢よりもはるかに年をとって見えます。
しかし、人体には紫外線でダメージを受けたDNAを修復する機構があり、通
常はそれが働いてダメージを取り除く事が分かっています。
今回、このDNAダメージを取り除く機構が失われると、老化が非常に促進さ
れる事が実証されました。
これは、世界で最も権威のある科学誌ネーチャー(Nature, Dec. 21, 2006;
vol 444: pp 1038-1043.及び. Dec. 21, 2006; vol 444: p 1015.)に、ピ
ッツバーグ大学Laura Niedernhofer博士、及びオランダ・ロッテルダムErasmus
医学センターのJan Hoeijmakers博士らが報告したものです。
研究では、先ず、早老症(progeria)と呼ばれる、若くして老化が極端に早
く進む遺伝病の患者さん(15歳のアフガニスタン男子)を調べました。
この少年は日光に対して極端に感受性が強く、10歳頃から顔面がシワだらけ
の老人のような風貌となっていたそうです。
そして、耳や目も老化が進んでいて、全身に老化によるやつれがみられ、更
にA型肝炎ウイルスや結核にも感染し、残念な事に16歳の時、肺結核と多臓器
不全により死亡したそうです。
そこでこの少年の遺伝子を調べたところ、DNA障害を取り除くのに必要な遺
伝子であるXPR遺伝子に重大な変異が生じている事が分かりました。
次に、この知見を基に、マウスをモデルとして、老化の条件について検討し
ました。
XPF遺伝子を欠損させたマウスを作り、その老化速度を調べたところ、老化
そのものは特には早くはなってはいない事が分かりました。
ところが、このXPF変異マウスに紫外線をあてると、老化速度が速くなる事
が確認されたそうです。
即ち、XPF遺伝子の欠損だけで老化が早くなるのではなく、XPF遺伝子の欠損
と共にDNA障害が起こることが、老化促進に重要であることが判りました。
紫外線などによりDNAがダメージを受けると、通常はXPR遺伝子によりそのダ
メージが除去されるのですが、XPR遺伝子が欠損している場合にはDNAダメージ
がそのまま残るようになり、老化が促進されると考えられるわけです。
同様に、紫外線によるダメージがある程度以下ならば、身体に備わっている
修復能力によりダメージが取り除かれると考えられるのですが、修復能力以上
の大量の紫外線を浴びた場合は、そのダメージを回復できず、老化が促進され
るものと思われます。
即ち、単にお肌のシミを防ぐのが目的だけでなく、身体全身にあたる紫外線
対策をなさるのが、老化対策には重要と思います。
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