FDAが警告:1,100の薬で臨床試験に問題。

FDAが警告:1,100の薬で臨床試験に問題。


 製薬会社は、人々の健康のためではなく、自社の金儲けのために薬を作って
いるという批判は、古今東西で言われ続けているものです。
 日本の厚生労働省に相当する米国食品医薬品局FDAが、”製薬会社の金儲け
を手伝っており、FDAもそれによって見返りをもらっている”とか、”薬に問
題が生じても、もみ消したりしているのではないか”、などといった疑問が出
されています。
 またこのところ、ケヴィン・トルドー氏の出版(「病気にならない人は知っ
ている」幻冬舎)が、米国に限らず日本でもベストセラーになっていますが、
彼の主張もその点を強烈に批判したものです。
 企業である製薬会社がそのような傾向があることは否めませんが、FDAなど
の政府機関がそんなことに加担しているとは考えたくありませんが・・・。

 さて、薬が世の中に出回るには、製薬会社はFDAから販売の承認を得るため
には、薬の安全性や有効性などの厳格な臨床試験が求められています。
 ところが今回 、FDAが承認して販売された医薬品に、実は臨床試験に重大な
欠陥があり、試験のやり直しが必要であると発表しました(2007年1月9日)。
 2000年〜2004年にかけてFDAに申請した医薬品について、臨床試験受託企業
であるMDS社が行った薬理学試験が問題というものです。

 ちなみにこのMDS社は、さまざまな製薬会社から薬の臨床試験を受託している、
米国でも最大の企業です。 またこの試験は、薬物動態試験(pharmacokinetic
studies)といわれる、薬品の血中濃度に関するもので、薬の承認を受ける際に
要求される重要な試験のひとつです。

 今回の発表に関して、FDAの薬効評価センター担当官Joseph Famulare氏は、
”薬を投与された人が危険になるということはなく、また有用性にも変更はな
いと考えられる”としています。

 しかし、問題となっている薬品の品名については、秘密事項であるとして公
表を避けているのが気になります。
 この中には、既に承認を受けたものや承認を待っている多くの薬品が含まれ
ているようで、もし承認取り消しとなった場合には、すでに利益を得ている製
薬企業であっても、莫大な損失を抱えることになります。

 今までもFDAは、MDS社の試験の精度については疑問を持っていたということ
のようですが、事が病気になっている人が服用する薬ですので、安全の上にも
安全を期すことが必須です。
 なお、FDAは2000年以来申請された900以上の新薬についても見直すよう要請
しており、今後この問題が大きくなりそうです。

 ただでさえ、FDAが製薬企業と結託をしているのではないか、との批判があり
ますので、毅然とした態度で対応をしてもらいたいものです。


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