新型インフルエンザ予測:1年間に世界で6,200万人の死者、日本では12

新型インフルエンザ予測:1年間に世界で6,200万人の死者、日本では12万
人。今後5〜10年は要注意。


 今のところ、ニワトリなどを中心として流行している高病原性トリインフル
エンザが、ヒトの間にも流行するようになると、死者は1年間で約6,200万人
に上るとの推測が発表されました。

 そしてその危険性は、今後5〜10年間は続き、その対策を早急に立てる事が
求められています。

 新型インフルエンザが、もし実際に人の間で流行するようになると、一大パ
ニックが発生する事が危惧されます。
 そこで、最近報告された新型インフルエンザに関する2つの話題を取り上げて
みました。

1)新型インフルエンザが発生すると、世界で6,200万人、国内だけでも12万人
の死者が予想される。
 これは、米ハーバード大などの研究チームが、英医学誌ランセット(LANCET,
2006, Dec.21)に発表したものです。
 それによると、1918年に世界で猛威をふるったスペイン風邪と同程度に大流
行すると仮定すると、死者は1年間で約6,200万人に上るという事です。
 そして、死者の96%は所得の少ない発展途上国の住民になると予想しています。
 研究では、先ず、以前発生したスペイン風邪流行の際のデータを27カ国につい
て解析しました。
 すると、1人当たりの所得が低い国・地域ほど死亡率が高くなっていることが
分かりました。
 次にこの結果を2004年の人口と所得に当てはめると、実に全世界で約6,200万
人が死亡すると予測されました。
 そして、そのうちの6,000万人は、先進国が構成する経済協力開発機構OECD
に加盟していない国から発生すると予想されています。
 ちなみに、日本での推計死者数は約12万人で、厚生労働省推計の約64万人より
は少なく見積もられていますが、それでも12万人とは大変な数字です。
 日本人の平均寿命が、2005年度に、この30年来ではじめて前年度を下回りまし
たが、それはインフルエンザによる死者が増えた事が原因でした。
 即ち、新型インフルエンザにより死者が12万人も出るとしたら、日本人の平均
寿命は激減する事になります。

2)新型インフルエンザの発生は、今後5〜10年にトリから他の動物間に広がり、
いつヒトにも流行してもおかしくない。
 これは、国連の担当官が明らかにしたもので、鳥インフルエンザは動物の間で
今後5〜10年流行し、いつ人から人への感染力を持つ新型インフルエンザになる
かわからないとし、長期にわたって警戒を強める必要性を呼びかけています。
 そして、ウイルスは病毒性が非常に強いが、鳥によっては症状がないまま長期
にわたって潜伏することがあるため、渡り鳥などを通じて世界に拡散する恐れが
あると警告しています。
 対応策としては、世界の死者の1/3にあたる55人が死亡しているインドネシア
や、貧困や感染症に苦しむアフリカへの支援が不可欠と述べています。
 ちなみに、この国連担当者によると、ウイルスの変異で新型インフルエンザが
大流行した場合は、最大1億5,000万人が死亡する恐れがあるとしており、その被
害を最小限に防ぐよう、各国の備えを急ぐ必要を訴えています。


 冬は特にインフルエンザウイルスが流行する時期です。新型インフルエンザウ
イルスは、通常のインフルエンザウイルスとは異なるとはいえ、常に注意が必要
です。

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