若返りを目的に、テストステロン療法を受けている人は、前立腺がんに

● 若返りを目的に、テストステロン療法を受けている人は、前立腺がんになり
やすい。

 男性の場合、高齢になると男性ホルモンであるテストステロンの分泌が低下
します。老化といってしまえばそれまでですが、何とか老化を抑え、男性とし
ての機能を保ち続けたいと思うのは当然の事です。
 そのためにテストステロン補充療法を受ける方が最近多くなってきているよ
うです。

 そこで今日は、テストステロン補充療法を受けると、確かに男性としての機
能低下は抑えられますが、同時に前立腺がんになりやすくなるという話題です。

 今のところ、テストステロンの補充療法が前立腺癌を引き起こすという科学
的な証明はありません。しかし、テストステロンの補充療法をする男性は増え
つづけており、前立腺癌の発生の危険率が高まる事は容易に予想できます。

 今回、カルフォルニア大学サンジェゴ医学センターのFranklin D. Gaylis
博士らが、泌尿器科系雑誌ウロロジ-誌に、テストステロンによる前立腺がんの
危険性を警告しています(J Urol. 2005;174(2):534-8; タイトル:Prostate
cancer in men using testosterone supplementation.)。

 研究では、テストステロン補充療法が原因で発病したと思われる20例の前立
腺癌患者の症例報告を詳細に調べました。

 この20例はいずれも性機能不全の改善、または若返りを目的としてテストス
テロンを補充していたそうです。

 そのうちの11例の患者さんでは、テストステロン補充開始2年以内に前立腺
が起こり、さらにそのうちの7人は1年以内に前立腺癌を起こしていました。
 また、その他は9例の人では、28ヶ月から8年の間に前立腺癌がおきていたそ
うです。

 この結果から、テストステロン補充を開始してから数ヶ月、または数年以内
前立腺癌が発生する可能性があると警告しています。
 また、既にテストステロン補充療法を受けている男性は、直腸指診などによ
前立腺癌の定期健診が必要であるとも述べています。

 前立腺がんは、特にこのようなテストステロン補充療法を受けない人でも、
今後ますますその患者が増えると予想されている癌です。

 中高年の男性の皆様、オシッコに時間がかかるなどの自覚症状がありました
ら、是非検査をお受けになってください。

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