「風邪でのどが痛い」に、不要な薬剤処方が目立っている。

● 「風邪でのどが痛い」に、不要な薬剤処方が目立っている。

 風邪の季節です。このところ、喉が痛い、頭痛がする、という人が多くなっ
ています。
 あまりひどいときはお医者さんに行けばよいのですが、ところがお医者さん
の処方に問題がある場合が多いという報告がありました。
 米国での調査結果なのですが、日本でも心配ですので、お知らせします。

 風邪などによる喉の痛みは、医院等を訪れる小児の6%に見られるほどの極
ありふれた症状です。
 この原因は、ライノウイルス、コロナウイルスアデノウイルスなどのウイ
ルス感染が中心なのですが、それに対する処方は、ウイルスには無効な、A群
ベータ溶血性レンサ球菌(GABHS)にのみ有効な抗生物質が投与されており、
無意味な投薬が非常に多いという警告です。

 これは米Harvard大学Brigham and Women's病院のJeffrey A. Linder氏らが、
医学誌JAMA(Journal of American Medical Association, 2005, Nov.9th;
title: Antibiotic Treatment of Children With Sore Throat)に報告した
ものです。

 この調査は、1995〜2003年に行われた2件の大規模全米医療調査を分析した
もので、のどの痛みを訴えて医院などを訪れた3〜17歳の小児の4158人を対象
としています。

 咽頭炎扁桃炎、連鎖球菌性咽頭炎と診断された患者さんでは、キチンとし
た検査後でも抗生物質が処方されたのは57%だったそうです。
 また、検査を受けなかった場合には実に73%が抗生物質の処方を受けていま
した。

 レンサ球菌(GABHS)に感染している頻度は全体の15〜36%なのですが、こ
の値を大幅に超える患者さんに、無意味な抗生物質が処方されていることにな
ります。

 このような抗生物質の処方は単に無駄なだけでなく、副作用などリスクを考
えると、そら恐ろしい現状です。
 さらに、抗生物質の過剰な使用は、耐性菌を増やし、医療費の高騰をもたら
す原因にもなります。

 正確な検査結果に基づいて抗生物質を適切に処方し、無意味でかつ弊害があ
る処方が極力減る事を祈ります。

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 「健康は実に貴重なものである。
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                           (モンテーニュー)

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