住血吸虫が寄生すると、喘息が改善する!?

● 住血吸虫が寄生すると、喘息が改善する!?

 以前から、アレルギー疾患の人が多くなってきた事と、衛生状態が良くなっ
てきた事との間には逆相関があり、例えば寄生虫の感染率が高かった頃はアレ
ルギーの人も少なく、感染率の低下と共にアレルギー疾患の人が増えてきた、
という説があります。
 寄生虫により出来るはずの免疫物質IgE抗体が少なくなり、このためアレ
ルギーになりやすくなっているのではないかと云うわけです。

 実際、アフリカなどの途上国ではアレルギー性疾患が少なく、逆に先進国で
は喘息などのアレルギー疾患が多いことも知られています。
 更に、アフリカのガボンの児童を対象にした試験では、体内の寄生虫を取除
くとハウスダストにより過敏になるという結果も得られているそうです。

 しかし、その因果関係そのものは明確ではなかったのですが、今回アイルラ
ンドのTrinity College DublinのPadraic Fallon氏等が、「住血吸虫を寄生
させると喘息が改善することが確認出来た」というニュースが、BBC放送の
科学番組でありましたので、お知らせします。

 今回用いられた住血吸虫は、世界で2億5000万人が罹患しているビルハルツ
住血吸虫症の原因寄生虫だそうで、マウスを用いた研究の結果、この寄生虫
免疫機能に作用してアレルギーを起こしにくくしていると云う結論が得られた
そうです。

 しかし、ビルハルツ住血吸虫症は、ナイル河からアフリカに広く分布する寄
生虫で、これに感染すると膀胱がんが出来やすくなるという説もあります。
 従って、寄生虫そのものを体に取り入れ、アレルギーを予防するという考え
は非常に危険です。

 研究者によると、今後更に住血吸虫によるアレルギー反応抑制メカニズムを
分子レベルで解明していくとのことですが、そのメカニズムが明らかになれば、
新しいアレルギー治療薬が開発できる可能性があり、寄生虫そのものの危険性
を取り除いた効果的な新薬が出来る事が期待されます。

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 「病気は千もあるが、健康は一つしかない。」       (ベルネ)

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