抗老化ホルモンの作用が明らかになった。
●抗老化ホルモンの作用が明らかになった。
最近の研究によると、抗老化ホルモン“クロトー(Klotho)"タンパク質は
細胞にダメージを与える過酸化物質の除去作用を増強し、抗老化作用を発揮す
る事がわかりました。
これは米国テキサス大学Makoto Kuro-o(黒尾誠)博士らのグループが、生
物学誌として定評のあるJournal of Biological Chemistry (2005,Nov.11)
に報告したものです。
黒尾先生らは既に、Klotho遺伝子を組み込んで過剰発現するようにしたトラ
ンスジェニック(遺伝子操作)マウスは、通常のマウスよりも寿命が20%も延
長することを報告していました(Science, 2005, Aug.25))。
今回の報告はその続編というべきもので、作用メカニズムに踏み込んで調べ
た結果です。
クロトー(klotho)とは、生命を司るギリシャの女神にちなんでつけられた、
老化を抑制するホルモン様のタンパク質のことで、このクロト遺伝子を欠損し
たマウスは、人の老化と同じような症状を呈する事が知られていました。
過酸化ストレスは遺伝子のDNAに限らず、脂質やタンパク質にダメージを与え、
細胞の老化を早める事はよく知られていますが、今回このクロトー遺伝子が抗
老化作用を発揮するのは、細胞にダメージを与える過酸化物質を抑える事がそ
の作用メカニズムだそうです。
今のところ実際に、ヒトの老化が抑えられるかどうかは実証されていません
が、ヒトにもマウスのKlotho遺伝子とほぼ同一の遺伝子が存在することがわか
っています。
従って、将来はこのクロトー遺伝子産物を活性化する薬剤などにより、我々
の寿命が延びうる事が期待されている訳です。
この研究は主に日本人研究者によって進められているのですが、高齢化を迎
えた日本にとって楽しみな研究ですね。
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<心に効く、言葉のサプリメント>
「健康の維持は我々の義務である。
生理学的道徳とも云うべきものの存する事を知る人は、まれである。」
(スペンサー)
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