子供の多い女性は、アレルギーになりにくい。
●子供の多い女性は、アレルギーになりにくい。
日本に限らず世界中で、特に先進国といわれる国では、花粉症を始めとした
アレルギーが最近大問題になってきています。 このアレルギー疾患について、
興味深い報告がありましたのでお知らせします。
女性が、子供を多く作れば作るほど、アレルギー症状が出にくくなることが
最近の研究で明らかになったというニュースです。
このところアレルギーの人が多くなったのは、生活環境での衛生状態が改善
したためであるという説があります。
これはアレルギーの人は、IgEといわれる免疫を司る抗体の産生量が少ない
ことから考えられたものです。そして、衛生状態の改善により子供時代に寄生
虫などに感染しなくなったため、大人になってからも免疫物質のIgEが少なくな
っていて、アレルギー症状が出やすくなっているというものです。これは“衛
生仮説”と呼ばれるもので、この仮説では社会や各家庭の衛生状態が重要という
ことになります。
今回報告を行ったのは、イタリア・ローマのFrancesco Forastiere博士らで、
医学雑誌アレルギー誌(Allergy, 2005, April)に発表したものです。
研究では、イタリア北中央部に生活している35-74歳の非喫煙女性1,755名に
ついて、家族数と母親のアレルギーとの関係を調べました。
その結果、子供がいない、或いは一人しかいない女性では、アレルギー症状
の出る頻度が約30%だったのに対し、4人以上子供を持つ女性では16%に低下
している事が分かりました。また、直接のアレルギー症状以外の関連症状につ
いても、36%が17%にまで低下していたそうです。
この結果を説明するには、いくつかの考え方があると思われます。
例えば、妊娠というのは体内に自分自身とは異なるもの(子供)を宿る事で
すので、妊娠すると女性の免疫応答に変化がおこる、あるいは妊娠すると体内
の炎症−抗炎症因子のバランスが変化してアレルギーになりにくくなることが
考えられます。
また、子供を多く生むために母親の体のバランスが崩れやすくなり、そのた
め免疫反応に影響を与える、あるいは多く子供がいると母親の栄養状態が変化
することにも関係している可能性があります。
そして、先程の“衛生仮説”と同様に、子供が多いと家庭内の衛生環境が悪
くなり、寄生虫などの感染しやすくなることも考えられます。
しかしいずれにせよ、家庭内に子供が多くいて、かつアレルギーになりにく
いのなら、幸せな母親だと思えるのですが・・・。
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