乳ガン予防に、ワカメや昆布が有効

● 乳ガン予防に、ワカメや昆布が有効

 乳癌の患者さんが増加しており、我が国でも大きな問題となっています。
 特に米国では社会的な大問題で、生活様式や環境、食べ物などの見直しが叫
ばれているところです。

 さて、以前からアジア人女性、特に日本人女性が、米国の女性よりも乳ガン
にかかる頻度がかなり低い事が知られており、その原因のひとつに日本人は海
草をたくさん食べるからである、という説があります。
 実際、日本ではお寿司やみそ汁などでよく食べますが、このような海草が乳
ガンに対する強力な対抗剤となっているのではないかというわけです。

 そこでカルフォルニア大学のChristine Skibola氏らは、これを実証するた
めに東洋食と西洋食を比較し、乳ガンの発生への影響を調べて、栄養学会誌
(Journal of Nutrition, 2005, Feb.2)に報告しました。

 研究はラットを用いた実験で、重症の月経障害となったラットに海草サプリ
メントを投与しました。なお実験では、日本のわかめや昆布と近縁のbladderwrack
という海草を用いました。

 24匹のラットを3群に分け、一群には70mg、他の一群には35mgずつ毎日海草
を与え、残りの一群には海草を与えなかったそうです。因みにこれらの量は、
日本人の海草の摂取量に匹敵するものです。

 その結果、当初は平均4.3日だった月経周期が、4週間後には37%の月経障
害ラットで長くなって正常に近づき、70mg投与群では5.9日、35mg群では5.4日
となっていました。
 その際の血中のエストラジオールを測定したところ、開始時には血液1リッ
トル中48.9ng(ナノグラム)だったものが、4週後には36.7ngにまで低下して
いました。
 また、人の卵巣細胞を用いた実験でも、海草のエキスを加えた場合には細胞
エストロゲンレベルが低下していたそうです。

 これらの結果から、海草を投与すると月経周期が長くなって正常となり、エ
ストロゲンレベルが低下することにより、エストロゲンが原因となる乳ガンの
発生が抑制されることが期待できるとしています。

 研究者によると、海草が細胞のエストロゲン受容体に作用してエステロゲン
の拮抗阻害を起こし、体全体のエステロゲンの量を減少させたと考えられるそ
うです。
 しかし、実際に人を対象としていないので、その結果がそのまま人間に当て
はまるかどうかは更に研究が必要と思われます。

 また、乳癌の専門医は、この結果からすぐに海草サプリメントを推奨すべき
でなく、まずは乳ガンを抑えるために正常な食事を心がけ、40歳を過ぎたらマ
モグラフィーでの検査を受ける事が重要であると注意しています。

 また、海草には大量のヨードが含まれており、摂りすぎると甲状腺機能低下
症などの危険性が高まりますので、もう少し様子を見た方が賢明のようですね。

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<心に効く、言葉のサプリメント

『自慢はたいてい劣等感から生まれます。』

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