若ハゲは、母方からの遺伝

● 若ハゲは、母方からの遺伝

　遺伝子解析の急速な進歩により、様々な病気の原因が明らかになりつつあり
ます。そこで今回は、多くの人の悩みの種である、若ハゲの原因遺伝子がわか
ってきたというもので、母親から受け継いだ遺伝子の変異がその原因だという
ニュースです。

　以前からも、ハゲには遺伝的な因子が強く関係していると考えられていたの
ですが、情況証拠的なものでした。そのため、実際にどの様な遺伝子が関係し
ているかの研究が、世界各地で進められていましたが、ドイツの科学者がその
遺伝子を見つけたというものです。

　この報告は、ドイツ・ボン大学Markus Nothen教授らが、米国人類遺伝学
（American Journal of Human Genetics, 2005, May）に報告したものです。
　研究では、40歳以前にハゲの症状が出ている人と、その兄弟、両親、そして
髪がいつまでもふさふさしている人から血液サンプルを提供してもらい、遺伝
子の違いを調べました。

　その結果、男性ホルモンであるアンドロゲンの受容体の遺伝子領域が関係し
ていることがわかりました。　この遺伝子の変異により、より多くのアンドロ
ゲン受容体が頭皮部分に出来るか、或いはいったん出来たアンドロゲン受容体
が壊れにくくなり、その結果男性ホルモンの取り込み量が増えて若ハゲをおこ
す、と考えられるそうです。

　ところでアンドロゲン受容体は、性染色体であるX染色体上に存在している
ことがわかっています。そして男性の場合は、このX染色体は母親から遺伝す
るものです。　従って、母方のおじいちゃんがハゲであるかどうかを見れば、
将来自分もそうなるかが予想できる事になります。

　しかし、若ハゲの原因の遺伝子は、今回わかったアンドロゲン受容体だけで
なく、多くの遺伝子も関係しており、問題はもっと複雑です。このような他の
遺伝子についてもしらべるため、この研究者はもっと多くのボランティアの人
から血液サンプルを集めているところだそうで、その成果が待たれます。

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