蜂の毒が、関節リウマチを改善する

●蜂の毒が、関節リウマチを改善する


 民間療法には、生きた蜂の針を関節痛の部分に刺し、毒液を注入することで
疼痛を治すという治療方法があります。
 実際それで良くなったという人も私の周りにおられますが、その効果は証明
されておらず、中には、蜂に刺された刺激によるもので、単なるプラセボ効果
だと疑う医師も多くいます。

 ところが今回、この蜂の毒が、実際にリウマチなどの関節炎の治療に有効で
あることが分かったという報告です。

 アトランタのエモリイ医科大学のRaymond Dingledine博士が、リウマチ医学
誌(Arthritis and Rheumatism, November 2004)に報告したもので、今後
新たなリウマチ治療法となる可能性が高いという事です。

 使用された蜂毒はメリチンといわれる物質で、今までも関節リウマチの炎症
を抑えるらしいと報告されていました。
 そこで先ず、関節炎を発症したラットに、少量のメリチンを与えたところ、
劇的に組織の腫れを抑え、更に骨の破壊をも抑える事が確認されました。

 次に、実際に関節痛で悩むリウマチ患者さんの関節組織の滑膜細胞にメリチ
ンを与え、その効果を調べました。
 ちなみに、滑膜細胞はリウマチの炎症がおこっている関節部分の細胞で、こ
の細胞組織の異常がリウマチの症状を起こすとされているものです。
 その結果、メリチンが滑膜組織の、疼痛や炎症の原因となる遺伝子の働き
(遺伝子からメッセンジャーRNAへの遺伝子発現)を抑える事がわかりました。
 現在、抗リウマチ薬としてよく用いられる抗炎症剤と同様に、痛みの発生の
原因遺伝子であるCox-2の阻害薬として働くとの事です。
 更にこのメリチンは、炎症部位に大量に存在する一酸化窒素の発生を抑える
作用もあり、それにより疼痛が緩和される事もわかったそうです。

 今後更に詳細に研究を進める必要がありますが、将来、関節リウマチでおこ
る骨組織の損傷や炎症の治療法のひとつとして期待されます。

 関節リウマチは、国内でも60〜80万人も罹患している、女性に多い難病です。
 私の知り合いでもリウマチでお悩みの方が大勢いらっしゃいますので、一刻
も早く、治療法として確立される事を望んで止みません。

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 昔の人の言葉や格言には、ハッとさせられるものが多くあります。私たちの
悩みは、過去に数え切れない人々が悩んできたもです。
 どうしても自分で判断できない時は、昔からの言葉を思い出して、元気を取
り戻すようにしています。

 「人生とは峠のようなものだ。
  その先に見えるものを、先人に聞けばいい。
  今いるこの場所から見えないのなら。」       (秋元康 作家)

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