ストレスは、発がんのリスクを上昇させる

<ストレスは、発がんのリスクを上昇させる>

 現代社会にあっては、ストレスの無い生活は無理ですよね。
 しかし、国立がん研究センターの研究によると、精神的ストレスを「強く」感じている人は、発がんリスクが高い事が明らかになりました。

 「JPHC研究」では、1990〜94年に40〜69歳(平均年齢53歳)の成人男女について、生活習慣と疾患との関連を調査しています。
 この研究の登録時点で、飲酒・喫煙といった生活習慣、果物や野菜の摂取量、精神的ストレスなどについて調査し、その後のがんの発症率との関連を調べました。

 その結果、登録者数10万1708人のうち、平均17.8年におよぶ追跡期間中にがんを発症したのは1万7161人で、登録時に自覚していたストレスレベルとの間には関係性は認められませんでした。
 しかし、5年目、10年目に同様の調査を行ったところ、追跡初年度から5年の間にストレス度が増加したと感じた人では、ストレスが「少ないまま」と感じていた人より、発がんリスクが4〜6%上昇していることが分かりました。
 更に、これら3回の調査全てに回答した7万9301人について再解析したところ、10年間常にストレス度が高かったと感じている人では、低かったと感じる人より発がんリスクが11%上昇していました。
 興味深い事に、この関係が明確に示されたのは「男性」だけだったそうです。
 特に男性では、登録時のストレス度が「平均的」だった場合でも、追跡期間中にストレス度が増強した群では、一貫して低かった群に比べて、発がんリスクが20%も増加していました。

 以上の結果から、ストレスそのものががん発症を促すかどうかについてははっきりしないのですが、少なくとも「ストレスに対処する際、喫煙や飲酒に頼りがちな事と関係があると考えられる」そうです。