病は気から:マウスで確認

<病は気から:マウスで確認>

昔から「病は気から」と云われていましたが、今回科学的にも証明されたというお話です。
 これは北海道大の村上正晃教授らのチームが、オンライン学術誌「イーライフ」で発表したものです。

・論文タイトル:Brain micro-inflammation at specific vessels dysregulates organ-homeostasis via the activation of a new neural circuit.
・著者: Yasunobu Arima他
科学誌名: eLife, 2017; 6 DOI: 10.7554/eLife.25517, August 21, 2017

研究では、飼育箱の底に水をためて熟睡させないなどストレスを与えたマウスについて詳しく調べました。
その結果、脳内のストレス中枢が活性化すると、血中の特定の免疫細胞が脳内血管に集まり、小さな炎症が発生することが確認されました。
さらに、この炎症が神経を通じて消化管に広がり、血中のカリウムが増えることで心不全につながることも見出しました。
 次に、このストレスを与えられたマウスの免疫細胞を取り出し、新たな健康なマウスに注入した後に更にストレスを与えると、これらのマウスも1週間以内に約8割が死んだという事です。
このような細胞は人間の血液中にもあり、血液検査で細胞の有無を調べれば、ストレス性疾患のかかりやすさを推定することも可能だそうです。
今回の結果は、慢性的なストレスが胃腸炎や突然死を招く神経メカニズムをマウスで確認できた訳で、ストレス性疾患の新たな治療法の開発が期待できるという事です。

ストレス社会は今後ますます広がっていくと思われますので、一刻も早くストレス性疾患の治療法が確立される事を祈ります。