睡眠は記憶力を強める。嫌な事を忘れたい時は眠らない方がよい。
<睡眠は記憶力を強める。嫌な事を忘れたい時は眠らない方がよい。>
睡眠をよく摂ると記憶力が向上するという事は、受験生の間では常識です。
単語を多数記憶し、数時間後にどの程度を記憶しているかを調べた研究では、記憶後に熟睡した方が、眠らないでいるよりもはるかに結果が良い事が報告されています。
これは、睡眠中でも記憶に関わる神経細胞が復習していたため、と考えられています。
また、自転車乗りやスポーツなどの練習で得られる記憶は非陳述記憶と呼ばれ、その固定にも睡眠は有効であることが分かっています。
さらに、睡眠中には大事な記憶を固定するのと同時に、必要性が低くなった記憶を消去するのにも重要な事が分かっています。
ある研究では、学習後の睡眠中に海馬や大脳皮質における神経細胞間のシナプス接合部の大きさや数を計測したところ、新たに増える部分もあれば、逆に減ってしまう部分もあることが分かりました。
これは不要になった神経連絡を消去し、限られた脳機能を効率よく使うためと考えられています。
例えば、嫌な体験をした直後に睡眠を十分に取ってしまうと、この忌まわしい記憶がしっかりと固定されてしまうのですが、逆に不安を抱えながらでも、眠れぬ夜を過ごす事は嫌な記憶を忘れさせる効果があるのではないか、と考えられています。
即ち、不安を抱えながら眠れぬ夜を過ごすのはとても辛いことではありますが、それなりに意味があるという訳で、そのように考えると少しは気が楽になりますね。