歯周病は、アルツハイマー病の原因?

歯周病は、アルツハイマー病の原因?>

 日本の成人の80%以上が歯周病なのだそうです。
 ところが今回、歯周病の原因菌がアルツハイマー病を引き起こす一因である可能性が発表されました。

 これは、日本大学歯学部の落合邦康教授らの研究チームが、2017年5月福岡市で開かれた日本歯周病学会で発表したものです。
 歯周病アルツハイマー病の関連性についてはこれまでも指摘されていましたが、今回初めて、実際に動物の体の中での関連が確認されたそうです。

 アルツハイマー病の原因として考えられている仮説の一つに、体内での酸化反応が組織や細胞などにさまざまな害を与える「酸化ストレス仮説」というものがあります。
 日大チームはこれまでの研究で、歯周病の原因菌「ジンジバリス菌」などが作る酪酸が細胞内に取り込まれると、細胞に酸化ストレスを起こして壊してしまうことを明らかにしていました。
 そこで今回、酪酸が動物の脳にどのような影響を与えるのかを調べたのだそうです。
実験では、健康なラット3匹の歯肉に酪酸を注射し、6時間後に脳の各器官の酸化ストレスの状態などを分析しました。
 すると、酪酸を注射したラットは通常のラットに比べ、全ての部位で平均35〜83%も「ヘム」「過酸化水素」「遊離脂肪酸」の濃度が上昇していることが分かりました。
 中でも海馬での上昇率が最も高く、ヘムは平均79%、過酸化水素は平均83%、遊離脂肪酸は平均81%濃度が上昇していたそうです。
 また、細胞の自殺を誘導する酵素「カスパーゼ」の活性を測定すると、海馬で平均87%増加しており、さらにアルツハイマー病患者さんの脳神経細胞内に異常蓄積するたんぱく質「タウ」も、海馬では平均42%も増加していることが示されました。

 以上の結果は、注射した酪酸が血流に乗って脳に入り込み、さまざまな異常を脳内に引き起こしたことを示しています。
 また歯周病患者さんでは、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の間から健康な人の10〜20倍も酪酸が検出されるため、アルツハイマー病の一因となる可能性が考えられるそうです。

 という事ですので、歯周病は早めに治療しましょうね。