盲腸は、進化した身体に必要な器官です

<盲腸は、進化した身体に必要な器官です>


人体に不要なものなんてない、という話題です。

有名なチャールズ・ダーウィンは、盲腸を「昔、霊長類が樹上生活をしていたころ、木の葉を食べて消化するために使われていたもので、今では必要のない器官。」と云っていたそうです。

ところが最近、虫垂は身体に必要なものとして進化を遂げてきた、重要な器官であるという論文が発表されました。
そして、盲腸の手術で切除してしまうと、かえって人体にはダメージがおよぶそうです。
これは、Midwestern Universityの研究者らが、Comptes Rendus Palevol誌に発表したものです。

・論文タイトル: Morphological evolution of the mammalian cecum and cecal appendix.
・著者: Heather F. Smith, William Parker, Sanet H. Kotzé, Michel Laurin.
科学誌名: Comptes Rendus Palevol, 2017; 16 (1): 39 DOI: 10.1016/j.crpv.2016.06.001

研究は欧米各国および南アフリカの大学の研究者たちが参加したもので、世界各地で533の哺乳類の虫垂の働きを調査しました。
その結果、虫垂をもたない哺乳類も少なくはないものの、虫垂を失った個体からなる動物種は繁栄できず、逆に虫垂が亡くなった種は殆どないことが明らかになりました。
また、虫垂を有する哺乳類と虫垂をもたない哺乳類を比較してみると、虫垂を有する哺乳動物のほうが、盲腸内にリンパ組織による高い免疫系が整っていたそうです。

この事から、虫垂のリンパ組織はある種の善玉細菌の成長を促し、腸内細菌の環境整備に役立っていると説明されています。
そして、盲腸は今も重要な器官の一つであり、手術で切除する事は身体機能にはマイナス面が生じ、虫垂切除後に免疫力低下は避けられないと結論されています。
実際に、虫垂を切除した場合には、病気の快復により時間がかかる傾向もあるそうです。

やはり、我々人体には不必要なものはないという事ですね。