英国王ジョージ6世は社会不安症だった

<英国王ジョージ6世は社会不安症だった>


英国王のスピーチ(原題:The King's Speech)」という映画をご覧になりましたか?
2010年に制作されたイギリスの歴史ドラマ映画で、吃音に悩まされたイギリス王ジョージ6世と治療にあたった言語療法士の友情を、史実を基に描いた作品です。
第83回アカデミー賞では作品賞など4部門を受賞した作品で、感動的な映画です。
この映画の主人公であるジョージ6世は極端な上がり症で吃音に悩み、英国民に対するスピーチが出来ず大変苦労なさった方です。

そこで今日は、このような上がり症の人に関する話題です。

アステラス製薬、ソルベイ製薬、明治製菓などの製薬会社3社が、全国の10歳代後半から40歳代の男女614人を対象に行った調査の結果です。

それによりますと、人前でのスピーチや会食の時に「怖くなったり、とまどったりする」と答えた"上がり性"の人は283人で、このうち、人前に出るのをいつまでも避けているなどSADの症状にあてはまると答えた人は82人に上りました。
 なお、SADは会社を休むなどの回避行動が増え、普通の日常生活が送れなくなる精神疾患で、人前に出ようとすると大量の発汗や動悸、頭痛、胸の痛みなどが起きるものです。
 推計では、国内の患者は300万人以上もいらっしゃるのですが、認知度が低く、周囲には内気で無気力だと思われがちの疾患です。
 SADの症状が出た時に受診するかどうか聞いたところ、回答した411人のうち381人は受診しないと答え、その理由として、病気とは思えない、性格の問題とあきらめている、が大半を占めたそうです。
 また、3社が開催したプレスセミナーで、東洋英和女学院大学山田和夫教授は、2002年で84万7000人にも上っているニート(通学や職探し、職業訓練をしていない若者)には、社会不安障害が背景にあると指摘しています。

 この社会不安障害には選択的セロトニン阻害剤(SSRI)が効果がありますが、残念ながらジョージ6世のころはありませんでした。
 しかし大事に至る前に、専門の医療従事者に相談したことが良かった訳です。