チューインガムで、大腸手術の回復を早くする

<チューインガムで、大腸手術の回復を早くする>


 最近の西洋食のせいか、大腸がんの人が日本国内でも多くなってきており、また大腸がんにまでは至らなくとも、その前段階の大腸ポリープで発見される人も多くなってきています。
 もちろん大腸ポリープの段階で早期発見し、それを取り除く手術を受ければ癌にならなくてもすみますが、この大腸の手術後には、イレウス(腸閉塞)症状がおきやすくなり、その苦しさもさることながら、入院を長引かせる大きな要因となっています。
 実際、米国での調査では、手術後のイレウスのため、1年間に10億ドルもの余分の費用が必要になっているそうです。

 さて、手術後に患者さんにチューインガムを噛んでもらうと、イレウス症状が軽減し、入院日数も抑える事が出来るそうです。
 患者さんの苦痛が減るばかりでなく、医療費削減を目指す関係者の間でも話題となっていますので取り上げてみました。

 これは米国ウエスペンシルバニア病院のJames McCormick博士らが、米国消化器病学会で報告したものです。

 研究では、大腸切除術を受けた54人の患者さん(男性28人、女性26人、平均年齢63.6歳)で、腹腔鏡下手術を受けた29人の患者さん、および開腹手術を受けた25人を2つの群に分け、一方の群にはチューインガムをかんでもらい、ガムを噛まなかった群と入院日数などを比較しました。

 その結果、開腹手術を受けた25人ではその効果は認められませんでしたが、腹腔鏡下手術を受けた29人では、何も噛まない群(10人)の入院期間が6.3日だったのに対し、ガムを噛んだ群(19人)では4.3日に短縮されていることがわかりました。
 さらに、腸の活動もガムを噛んだ群の方が活発になっている事も確認されました。

 このことから、ガムを噛むと腸の機能が早期に回復して、入院期間を短縮することから、安価でしかも安全な対策だと結論されています。

 チューインガムを噛むことは歯周病の予防に有効であることはよく知られていますが、大腸手術をお受けになった方も、大いに“クチャクチャ”されるとよいのでは。