母なる神:メスが最初にできた

<母なる神:メスが最初にできた>


本年度のノーベル平和賞に、パキスタンのマララ・ユスフザイさんが選ばれました。

ご存知のように、マララさんはイスラム教の女性蔑視に反対し、女子教育の権利を唱えてイスラム過激派に頭を撃たれ一命を取り留めた女子学生です。

さて、イスラム教に限らず、ユダヤ教キリスト教も「父なる神」を信じる信仰であり、男性中心主義の宗教です。
創世記には、創造主なる神は、男性の「助け手」、「補助者」として女性を創造されたとあるほどです。

ところが、現実は生物の性はメスが原型で、オスはその派生型だそうです。

これは、東京大学大学院理学系研究科の野崎久義助教授らの研究グループが、生物のオス(精子をつくる性)を決定づける遺伝子を調べた結果、明らかになったもので、米専門誌「カレント・バイオロジー」に発表されています。


オスは精子を、メスが卵子を作って、交配生殖する生物では、性を決定する遺伝子がいつ、どのように誕生したのかはこれまで謎でした。

ちなみに、生物の生殖は、同型配偶(性差はあっても配偶子の大きさに違いがない)から、異型配偶(メス型の配偶子がやや大きい)を経て、卵生殖(ヒトのように、大型で運動能力がない卵と小型で運動能力が高い精子をつくる)へと進化したと考えられています。

そしてこれまで、同型配偶の単細胞藻類(クラミドモナス)では、一方の性を決める遺伝子が見つかっていたが、それがどちらの性に相当するのかは不明でした。

そこで、野崎助教授らは、神奈川県の津久井湖で採取した新種の藻類のゲノムを解析したところ、オスだけに現れ精子の核に局在する遺伝子を発見し、「OTOKOGI」と名付けました。
ゲノム解析の結果、クラミドモナスの性決定遺伝子が「OTOKOGI」の起源であることも分かったそうです。

この結果「性の原型はメスで、オスはOTOKOGIのような性決定遺伝子を持つことでメスから派生する」と考えられるとされています。


面白い事に、「OTOKOGI」は野崎助教授が好きな任侠映画にちなんだ命名したもので、漢字を当てると「侠」の文字だそうです。

そういえば、先日亡くなられた高倉健さんは、強さと共に、常に寂しさをたたえていましたが、女性を大切にされたと聞いています。